【第31回】しょーちゃんコラム 「ヘラルボニー」の建長寺での企画展とトークショー

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※本記事で取り上げる建長寺でのヘラルボニー作品展は終了しています

皆様は、「ヘラルボニー」という会社を聞いたことはないでしょうか?

今、本当に勢いに乗る、主に知的障害の方とプロの作家(アーティスト)として契約をして、活動して頂くという企業なのです。

今ではまさに日の出の勢いで、ヘラルボニーのブランドがパリコレで大賞を獲得したり、世界に名を知られる存在になっています。

私自身の想いとしては、実はヘラルボニー創業の地である岩手県に自分の縁も深いので、そのこともあって前々から大注目していました。

ちなみにヘラルボニーのルーツは、創業者である双子の兄弟に、もう1人兄がいて、彼が自閉症であったことから始まっています。

松田さんと言う兄弟なのですが、生まれ育ったのは岩手県南部の金ヶ崎町という田園地帯と工場の街。

都会より、自閉症の兄に対する周囲の「特異な目」は強かったのだろうな、と長年東北地方にいた私には容易に想像できます。

兄弟に知的障害のある人がいる人たちを「きょうだい児」と、専門用語では言いますが、まさにきょうだい児だった2人は、特に思春期には兄を避けるような行動をとっていた時期もあったと聞くし、高校は「部活でやっていた卓球の強豪へ行きたい」と、200キロ近く離れた岩手県北部の高校(岩手県はとにかく面積が広いのです)に進学して地元を離れ、大学もそれぞれ県外へ。

きょうだい児には、多かれ少なかれ複雑な想いはあると言いますし、2人にもいろいろな想いがあったのでしょう。

しかし、2人には、「なぜ、幼い頃から当たり前に自分たちの目の前にいて、普通に笑い、当たり前に喜怒哀楽があった兄が、差別的な視線を浴びて、「かわいそう」と言われ続けなければならないのか。と、燻る思いを持ち続けていたそうです。

2人はいろいろあったそうですが、7年前に起業。

そして、多方面に仕掛け、世界中のアーティストと契約している。

それがヘラルボニーです。

私が神奈川に来るまでの15年を過ごした岩手では、県出身のメジャーリーガー達と並ぶ、岩手が今、世界に誇るべきコンテンツだと私は思っているほどですが、そのヘラルボニーの作品展が、先日、北鎌倉の建長寺でありました!!

(写真・建長寺入り口)

(写真・建長寺山門)

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この作品展は、今年鎌倉で展開された「東アジア文化都市2025鎌倉」のアート展として開催されました。

そして12日には、ヘラルボニーCEOの松田崇弥氏、建長寺の教学部長の山名田氏、鎌倉市の松尾市長が登壇してトークショーが開催され、私も行って来ました。

(写真・トークショーのスクリーン)

(写真・トークショーに臨むお三方)

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まずは「東アジア文化都市2025鎌倉」の案内。

(写真・文化都市事業の紹介)

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この日は松田CEOの自閉症を持つ兄、翔太さんも岩手県から駆けつけていました。

前に出てきてくれましたが、一般人ですし、お姿の写真は載せません。

しかし、写真にある翔太さんの幼い頃のノートに書いた落書きの「ヘラルボニー」という文字、これが会社名となったようです。双子の兄弟が翔太さんを「陰の創業者」という意味がここにもあるかもしれません。

(写真・翔太さんのノート)

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また、この日は松田嵩弥さんが、普段ヘラルボニーを運営している中で感じる喜びも語ってくれました。

(写真・確定申告のスクリーン)

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ヘラルボニーのアーティストは、ほとんどが知的障害を持っています。

大体、親は子どもの頃に、わが子の行く末に絶望感を抱いた経験があることも多かったでしょう。

しかし、ヘラルボニーでアーティストとして活躍するようになれば、「プロの芸術作家」としてきちんとした対価・報酬が頂けるわけです。

その先には、家族が考えてもいなかった、知的障害のある我が子が「自分で確定申告が出来る」という事実も生まれ、今では知的障害のある子が老いた親を養えるくらいの存在になっているケースもあるそうです。

私自身、まさに鳥肌モノだと強く思いました。

また、ある大都市のデパートでヘラルボニーの作家の個展をやっていたら、作家が普通学級の小学校に行っていた時にいろいろ助けてくれて、仲良くしてくれたという同級生が偶然来店して「すいません、この作家さん・・もしやあの人ですか?」という問い合わせをその人がして、そこから作家といろいろ繋がった・・と言う話もありました。

やはり、「挑戦」からつながる世界は無限大なのだな、と思いました。

その一方、社会にはまだまだ障害者に対する偏見も強く、「染色体異常があり、ダウン症の子が生まれる可能を指摘されたら、産まない選択をする人が増えている」などの話にも触れていました。

(写真・偏見のことを訴えたスクリーン)

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差別感情」。
これは人間に備わった本能であり、完全になくすことは無理なことは分かっています。

しかし、その様な差別を受けている人たちも実際1人1人人間なのだ、生きているのだと訴え続けていきたいです。この鎌倉からも、差別を減らしていきたいですね。

トークショー終了後は、「鎌倉市民と言うより、岩手の関係者と言う感覚で」松田嵩弥さんに挨拶する時間にも恵まれました。

そして、その後は作品展を駆け足で鑑賞。

意図的に部屋の照明を落とした部屋で、多くの作品が並んでいました。

心が安らぐひと時でした。

(写真・ヘラルボニーアーティストの作品)
(写真・説明)

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静かに力強く語りかけてくるようです
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私個人のことを言えばこの「東アジア文化都市2025」にはあまり鑑賞機会も少なかったし、歯がゆい思いもありましたが、最後に岩手県の関係者としても、「岩手と鎌倉が、こんなに素晴らしいコラボをした」という感覚のモノが見られて、たいへん幸福な気持ちになれました。しかも歴史ある名刹、建長寺での歴史的なコラボ、本当に凄いモノを見たと思っています!!

これを機会に、ヘラルボニーと鎌倉市には、どんどんコラボをして欲しいです。

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この記事を書いた人

湘南ひとまち編集長
野生動物や自然が好きな23歳。
不動産仲介とコンテンツ制作をしています。
日々の生活を通して、地域の人や自然の保全に貢献したいと思い、
小さいところから実践しております。

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