【後編】まちを耕す編集者/Editor 大越千春さん
MY NEW LOCAL 生きるセンスを鎌倉と共に
🔗 前編を見る → まちを耕す編集者/Editor 大越千春さん(前編)
「話すことは、耕すことに似ている」
シリーズ「鎌倉のひとに学びつながる」では、鎌倉という土地に根ざしながら、自分らしい感性で生きる人々に出会ってきました。
今回のゲスト・大越千春さんは、その中でも“まちを耕す編集者”という独自の言葉で、自分の生き方と地域との関わりを語ります。
千春さんは、鎌倉・材木座にある「関係案内所 はつひので」や「話そう」という対話番組の企画・編集を手がけるローカルプロジェクトメンバーの一人。
後編では、その活動の根底にある「話す」「聞く」「耕す」という行為への想いが、丁寧な言葉で紡がれていきます。
言葉で、心の土を耕す
「話すことは、耕すことに似ていると思うんです」
そう静かに語る千春さん。
固くなった土を少しずつほぐすように、
人と話すことで、自分の中の思いや感情が“呼吸”を取り戻していく。
掘り起こすのではなく、空気を含ませ、光を通すような——
そんな優しい対話の姿勢が、彼女の言葉に宿っています。
「話すことで自分を知る」「反応を見つめる」「良い悪いではなく、感じる」
それは、まちを耕すことと同じように、
人の心の奥にある“生きる力”を育てる営みのようです。
野生のミミズのように、生きる
印象的だったのは、千春さんが語った“理想の存在”の比喩。
「もし自分をたとえるなら、“ミミズ”かもしれない」と。
ミミズは、土を分解し、混ぜ、栄養をつくり出す。
その営み自体に目的意識はなく、ただ“生きていること”が結果として土を豊かにする。
「私もそうありたい。仕事としてではなく、生きることそのものが“耕すこと”につながっていたら」
そう笑う彼女の言葉は、まるで鎌倉の土の香りを含んでいるようでした。
学びとは、“食べること”
「学びは、食事みたいなもの」
千春さんは最後にそう言います。
新しいことを“口に入れて”、
味わい、飲み込み、やがて自分の血や肉となっていく。
ときに苦く、ときに甘く。
でも、それらすべてが自分を育ててくれる“糧”になる。
「必要のないものは自然と出ていくから、それでいい」
そう語る姿には、学びを“消化する力”のような自然体の知恵がありました。
“まちを耕す”という生き方
鎌倉の街を、同級生のように見つめる千春さん。
少し離れても、また戻ってくる。
ゆるやかに、でも確かな愛情でこのまちに関わりつづける。
彼女の目指す未来は、
「気の抜けた顔でいられるまち」。
肩の力を抜いた笑顔が、あちこちに咲くような鎌倉の風景です。
話すこと。つながること。耕すこと。
それぞれの小さな手が、土の中でそっと交わっていくように——
“MY NEW LOCAL”が描く未来は、今日も静かに息づいています。
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