鎌倉・湘南で住宅を買う前に必ず知ってほしい「売買契約書」と「重要事項説明書」

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家を購入すると必ずぶつかるのが
「売買契約書」と「重要事項説明書のどこを見ればいいの?」という壁です。

どちらも厚みのある書類ですが、
・リフォームできる範囲
・将来の売却のしやすさ
・ハザード(災害リスク)
まで含めて、重要な箇所が沢山あります。
ここでは、住宅を買う人が最低限チェックしておきたい項目だけに絞って整理します。

目次

1. 「重説」と「売買契約書」は役割が違う

最初に整理しておきたいのが、この2つの役割です。

  • 重要事項説明書
    → 物件や取引条件について、買主が判断するための「説明書」。
    → 不動産会社(宅建業者)は、宅建士から書面を交付して口頭説明する義務があります(宅建業法35条)。
  • 売買契約書
    → 売主・買主が合意した内容を書面にした「約束の最終形」。
    → いったん締結すると、民法・宅建業法・消費者契約法の枠内でしか解除できません。

重説は「説明」、契約書は「約束」。
重説で聞いた内容と、契約書の中身がズレていないかを確認するのが一番大事です。

2. 見落としやすい条項はここ

① 手付金と「いつまでならやめられるか」

不動産売買の契約は、本来いったん結んだら守るべきものですが、どうしても事情が変わることがあるため、法律上いくつかの「やめ方」が用意されています。

その代表が手付金による解除です。売買契約では契約時に買主が手付金を支払うのが一般的で、民法では特に定めがなければ解約手付と推定され、売主・買主は相手が「履行に着手」する前なら、買主は支払った手付金を放棄することで、売主は受け取った手付金の倍額を返すことで、理由を問わず契約を解除できます(民法557条1項)。

ここでいう履行の着手とは、所有権移転登記の申請や中間金の支払い、代金支払と引渡しの提供など、外から見て契約の実行に踏み出したといえる段階を指し、単なる準備行為では足りません。

この時点を過ぎると、原則として手付放棄・倍返しでの解除はできなくなります。

実務では、「○年○月○日以降は手付解除ができない」といった特約で期限を明確に切るのが一般的で、特に個人間取引ではこの期日を過ぎると手付解除はできない運用が多くみられます。また、売主が宅建業者で、テント張りの販売所や訪問販売など、事務所以外の場所で契約した場合には、クーリング・オフにより書面発信から8日以内なら無条件で解除できる場合もありますし、ローン特約や買い換え特約、債務不履行による解除、消費者契約法による取消しなど、別ルートの「やめ方」もあります。

ただ、どの方法も条件を満たして初めて使えるものなので、契約書では少なくとも
①手付金の額が価格に比べて過大すぎないか
②手付解除ができる期限がいつまでか(クーリング・オフやローン特約の有無も含めて)
この2点だけは冷静にチェックしておくことが、自分の身を守る第一歩になります。

参考:東京都住宅政策本部 「不動産取引の手引き」8 契約を解除するときは
(令和4(2022)年2月22日)
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/fudosan/torihiki/tebiki/490p30-33

② ローン特約の条件と「どこまで白紙解約ができるか」

住宅購入ではほとんどの買主がローンを利用するため、契約後にローンが通らなかった場合の救済として「ローン特約(融資利用の特約)」が設けられています。これは、買主に落ち度がないのに融資が不成立となったとき、契約を白紙解除にできる仕組みで、本来なら違約金(一般的には売買代金の20%)を支払って債務不履行となるリスクを防ぐためのセーフティーネットです。

ローン特約には、融資が通らなかった時点で自動的に契約が失効する「解除条件型」と、買主が解除を申し出て初めて契約を解消できる「解除権留保型」の2種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

確認すべきポイントは大きく三つ。まず「どの金融機関・どのローン商品が対象か」。
特約で指定された金融機関以外の否決は適用外になることもあります。

次に「どこまでを“融資不成立”とみなすか」。
満額否決だけが対象なのか、減額承認(一部不成立)も白紙解除の対象になるのかは非常に重要で、実務でも「不足額が少額でも原則は適用できる」とされていますが、買主にほとんど影響がない減額幅の場合は権利濫用として認められないケースもあります。

そして最後に「金融機関の否決通知書が必要かどうか」。
否決理由を問う条項か、原因に触れない条項かによって扱いが変わり、買主には誠実にローン申請を行う努力義務があるとされています。

これらが曖昧なまま契約すると、「減額承認だけど、この条件で進めますか?」と迫られたときに、白紙解除できるかどうか判断できず不利になることがあります。

ローン特約は買主を守る大切な条項だからこそ、
①対象金融機関
②不成立とみなす範囲
③否決通知の要否
この三点を必ずセットで確認しておくことが安心につながります。

参考:一般財団法人 住宅金融普及協会 不動産売買契約におけるローン条項
https://www.sumai-info.com/information/legal_knowledge_10.html?doing_wp_cron=1763534402.0281341075897216796875

③ 契約不適合責任(旧・瑕疵担保)の範囲と期間

2020年の民法改正により、従来「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものは「契約不適合責任」に整理されました。
引き渡された建物が、種類・品質・数量について「契約で約束した内容どおりになっていない」場合が「契約不適合」で、雨漏りやシロアリ被害、給排水管の重大な不具合などが典型例です。一方で、築年数相応の老朽化や、引渡し後の新たな故障・損傷は「既存住宅として想定される状態」とされることが多く、契約不適合には当たりません。

売主は「契約どおりの状態の物件を引き渡す義務」を負っており、不適合があった場合、買主は
①修補などの追完請求
②代金減額請求
③要件を満たせば契約解除
④売主に過失等があれば損害賠償請求

といった手段を取ることができます。
ただし、買主側に明らかな落ち度があるケース(説明を受けたのに無視した、事前の指摘を承知で購入した等)では、これらを主張できないこともあります。

実務では、中古住宅の売買契約書に「契約不適合責任は引渡し日から○か月間」「対象は雨漏り・構造上主要な部分・給排水・シロアリなど記載の部位に限る」といった特約を設けるのが一般的です。

個人間売買では「売主は契約不適合責任を一切負わない」とする免責特約が入ることもありますが、売主が知っていた不具合を告げていなかった場合などは、その免責が無効と判断される余地があります。また、売主が宅建業者の場合は、宅建業法上「引渡しから2年以上」といった一定の保護が求められたり、新築住宅については別途「10年保証(構造・雨漏り)」が法律で義務付けられているなど、民法より買主に有利なルールが上乗せされる場面もあります。

最低限チェックしたいのは次の2点です。

  • 売主がどこまで・どの部位について契約不適合責任を負う約束になっているか
    (雨漏り・構造・給排水・シロアリなど、対象がどこまでか/免責特約が入っていないか)
  • その責任期間が「引渡しから何か月か」「民法どおりか」
    (期間が極端に短くないか、売主が業者の場合は法律上の最低ラインを下回っていないか)

引渡し後に不具合を見つけたとき、契約不適合を理由に請求できる期間には「いつ気づいたか・いつ通知したか」という法的な制限もあります。契約前に「どこまでが売主の責任で、どこからが自分のリスクか」をイメージしながら、この条文を丁寧に読み込んでおくことが大切です。

参考:東京都 住宅政策本部 「不動産取引の手引き」10 引渡し後に不具合・欠陥が…
(令和3(2021)年9月30日)
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/fudosan/torihiki/tebiki/490p36-38

④ ハザード・周辺環境の説明

近年の大規模水害や土砂災害、そして東日本大震災の教訓を受け、
不動産取引では「災害リスクを知ったうえで買う」ことが法律で強く求められるようになりました。

2020年の宅建業法改正では、水防法に基づく水害ハザードマップ上の物件位置の説明が義務化され、
洪水・内水・高潮の浸水想定について、取引時に必ず提示されるようになりました。
また、土砂災害防止法に基づく イエローゾーン・レッドゾーン については、従来から重要事項説明の対象であり、
区域内の建築制限や開発許可の要否も説明されます。

津波についても、東日本大震災後に制定された「津波防災地域づくり法」により、
津波災害警戒区域(避難体制を特に整備すべき区域)
津波災害特別警戒区域(建物の損壊・浸水で著しい危険のある区域)
が順次指定され、現在ではこれらも重要事項説明で伝えることが義務となっています。

実際の重説で説明されるのは、主に
・対象物件のおおよその位置と、どの災害区域に該当するか
・最大規模の大雨・津波・土砂災害が想定された場合の危険度
・区域に伴う建築・開発制限の有無
などです。

特に鎌倉では、海・谷戸地形・崖地が多いため、
水害に加えて 土砂災害警戒区域・特別警戒区域、津波浸水想定、崖や擁壁の状況 を総合的に確認する必要があります。
ポイントは「危険区域かどうか」だけで判断しないこと。
区域に入っている場合は、
・火災保険や地震保険の加入条件/保険料
・将来のリフォームや建替えの可否
・避難経路やライフライン復旧の想定
まで影響します。

ハザード情報は、不動産の価格そのものよりも、
そこで安心して暮らせるか、将来の価値が守られるか を考えるためのひとつの材料です。
行政の最新マップだけでなく、都市計画情報や地形の履歴、過去の災害履歴なども合わせて確認し、
「立地の安全性」を総合的に理解しておくことが大切です。

参考:国土交通省 宅地建物取引業法施行規則の改正について

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000074.html

参考:国土交通省 〜津波災害警戒区域等についての宅地建物取引業法に基づく重要事項説明について〜

https://www.mlit.go.jp/common/000214979.pdf

参考:国土交通省 土砂災害防止法の概要

https://www.mlit.go.jp/common/001019250.pdf

3. 古家付き土地の契約で注意したいこと

鎌倉では、「古家付き土地」として売り出される物件も多く見かけます。
この場合、契約書・重説の書き方を少し注意して見る必要があります。

「建物は契約不適合責任の対象外」の特約

古家付き土地の契約書では、

本物件建物は老朽化しているため、売主は建物について契約不適合責任を負わない。

といった条項が入ることがよくあります。

法的には、民法の規定(契約不適合責任)は任意規定なので、当事者の合意で責任範囲を狭めることが可能です。

つまり、「土地として売ります。建物はオマケ扱いです」という整理がされている契約が多い、ということです。

その前提で、

  • いつまでに解体するのか(売主か買主か)
  • 解体費用の負担はどちらか
  • 地中埋設物が出た場合の扱い

などを、契約書上で具体的に決めておくと、あとからのトラブルを減らせます。

「再建築できるかどうか」は必ず自分でも確認する

古家付き土地の場合、
「今は建物が建っているけれど、建て替えられない土地」が紛れ込んでいることがあります。

チェックするのは主に次の点です。

  • 建築基準法上の道路に、2m以上接道しているか(再建築可否)
  • 用途地域・建ぺい率・容積率(建てられるボリューム)
  • 風致地区・景観地区などの制限の有無
  • 土砂災害警戒区域・急傾斜地崩壊危険区域などの指定

これらは本来、重説で説明される内容ですが、
「聞いていなかった」より「自分でも一度見ておいた」の方が安心です。

5. サイン前に確認したい「最後の4つ」

この記事の内容をすべて覚える必要はありません。
実際の現場で、最後にこれだけは聞いておきたい質問を4つだけ挙げます。

  1. この物件の
    建築確認済証・検査済証は残っていますか?
  2. 売主の契約不適合責任の範囲と期間は、契約書のどこにどう書いてありますか?
  3. 住宅ローンが通らなかった場合、
    どの条件ならローン特約で白紙解除できますか?
  4. 水害・土砂災害・津波など、
    公式ハザードマップ上のリスクはどうなっていますか?

ここまで確認してから契約に進めば、
「そんなつもりじゃなかった」というズレはかなり減らせます。

まとめ

  • 売買契約書は「約束」、重要事項説明書は「その前提条件の説明」。
  • 手付金・ローン特約・契約不適合責任・ハザード情報は、後から効いてくる重要ポイント。
  • 古家付き土地では、「建物をどう扱うのか」「再建築できるのか」を契約書で具体的に確認しておく。
  • 鎌倉のような斜面地・谷戸・海に近いエリアでは、ハザード情報は契約条件とセットで考える。

家を買うとき、
書類はどうしても難しく見えますが、
「どこを読むか」が分かれば、必要以上に怖がる必要はありません。

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この記事を書いた人

野生動物や自然が好きな23歳。
不動産仲介とコンテンツ制作をしています。
日々の生活を通して、地域の人や自然の保全に貢献したいと思い、
小さいところから実践しております。

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