2025年も終わりに近づいた12月21日、私たち「コトオコシ鎌倉」は、第5回となる作戦会議を開催しました。この会議は、私たちの活動の根幹をなす、鎌倉で暮らす人とこの地を訪れる人が共に豊かに過ごせる未来への道筋を定めるための重要な時間です。様々な課題に対し、一方的なルールで解決するのではなく、異なる立場の人々が心を通わせる「対話」を重ねていくこと。その先にこそ、真の共存があると私たちは信じています。今回の会議で交わされた議論と、そこから見えてきた鎌倉の未来への道筋をレポートします。
1. 私たちが目指す「コトオコシ」:活動の理念を再確認

コトオコシ鎌倉の目的は、鎌倉を訪れる人とこの地で暮らす人が、互いの立場に関心を寄せ、対話と交流を通じて、共に楽しめる道を探し、育み、歩んでいくことです。観光地が抱える問題は、規制やルールだけで解決できるものではありません。異なる背景を持つ人々が対話を通じて互いの状況を理解し、尊重し合う関係性を築くことこそが、一時的な解決ではなく、街の持続的な平和と魅力に繋がると考えているからです。
この理念を象徴する活動が「いちごみいちえ」です。これは単なるゴミ拾い活動ではありません。観光客が持つゴミを私たちが「そのごみ受け取ります」と声をかけて受け取ることで、ゴミを媒介としたコミュニケーションを生み出すプロジェクトなのです。この小さなやり取りから「ありがとう」という温かい言葉が交わされ、住民と観光客の間にポジティブな接点が生まれます。私たちは「いちごみいちえ」を単なる清掃ボランティアで終わらせるつもりはありません。この活動を通じて生まれる一期一会の出会いが、鎌倉の新しい文化として街に根付いていくことを目指しています。
2. 現場からのフィードバック:見えてきた手応えと次への課題

掲げた理想を現実に変えていくためには、現場で感じた率直な感想や葛藤を共有することが不可欠です。「いちごみいちえ」を実践したメンバーからは、コミュニケーションの有効性を実感する声が上がった一方で、活動を継続的な仕組みにするための心理的・運営的な課題も明らかになりました。成功体験だけでなく、うまくいかなかった点や難しかった点をオープンに話し合うことで、活動をより実態に即した形で改善していくことができます。
会議では、メンバーから寄せられた体験談を「手応え」「壁」「運営面の気づき」に分類して共有しました。
| 分類 | 現場から上がった具体的な声 |
| 手応え(良かった点) | ・絡んでくる人はいなかった ・街がきれいになる ・意外な反応が楽しい ・コミュニケーションが楽しい ・観光客との対話のきっかけ作りができた ・文化の違いを理解できた |
| 壁(問題点・課題) | ・いざとなると声かけに勇気が出ない ・ついゴミ拾いそのものに目が向いてしまう ・コミュニケーションを深めるための外国語スキルの必要性を感じた |
| 運営面での気づき | ・活動開始時間が早すぎると観光客がいない ・開催頻度が少ない ・地域への認知度向上や、潜在的な参加者を掘り起こす必要がある |
これらの実践から得られたリアルな声は、私たちの活動の「伸びしろ」に他なりません。今後は、より効果的なアピール方法の検討や、新規参加者の募集方法の確立が次の重要なタスクとなります。
3. 活動ガイドラインの明文化

現場での率直な振り返り、特に活動中の振る舞いや安全に関する課題意識は、そのまま次の議題へと繋がりました。それは、私たちの活動を本格化させ、地域社会から信頼される責任ある団体となるための、具体的な活動ガイドラインの策定です。
公共の場で活動する以上、社会人としての責任ある行動が信頼の土台となります。また、現状では団体としての保険に未加入であるため、何よりも参加者自身の安全を確保するためにも、行動規範に関する共通認識を持つことが不可欠です。会議での議論を経て、以下の主要なルールについて合意しました。
| カテゴリ | 具体的な遵守事項 |
| 交通安全・第三者配慮 | ・車道には出ない ・歩行者の障害にならないよう配慮し、不快な思いをさせた場合は真摯に謝罪する |
| 衛生・健康管理 | ・必ず軍手やトングを使い、素手でゴミに触れない ・体調不良時は速やかにリーダーへ報告し、無理せず休む |
| 倫理と責任 | ・写真撮影時は、観光客や住民の肖像権に最大限配慮する ・収集したゴミは正確に分別する ・未成年者の参加は保護者の同意と大人の監督を必須とする |
これらの規律をメンバー一人ひとりが意識し、遵守することが、地域からの信頼を育み、参加者全員が安心して活動できる環境作りに繋がります。
4. 「いつでも参加できる」仕組みへ:運営体制のアップデート
安全かつ責任ある活動の「やり方(HOW)」についての共通認識を固めた私たちは、次に活動の「タイミング(WHEN)」、つまり運営体制の課題へと焦点を移しました。これまでの不定期開催から、より多くの人が参加しやすい「定期開催」へと活動形態をシフトさせるため、運営体制を具体的にアップデートすることを決定しました。
現状の「運営メンバーの都合で調整し、直前に告知する」という不定期な開催方法では、参加したくても予定が合わないという声が多くありました。告知方法や開催基準を明確化することで、参加のハードルを下げ、運営側の負担を軽減しながら活動の認知度を高める必要があります。今後は、以下の改善策を実施していきます。
• 定期開催の確立: 月一回以上の固定日(例:毎週◯曜日の13:00〜14:30)を設定する。
• 告知フローの改善: 開催日の前月末、遅くとも1週間前には告知を完了し、LINEグループの「調整さん」で参加表明を行う仕組みを確立する。
• 開催判断の明確化: 当日の雨天予報や、参加者が3名未満の場合は中止とするルールを定め、速やかに通知する。
これらの改善を通じて、新規参加者が加わりやすいオープンな環境を整え、より安定的で継続的な活動基盤を築いていくことを目指します。
5. 新たなシンボルと未来への挑戦



コトオコシ鎌倉の活動を象徴するロゴデザインが決定しました。共通のビジュアルを持つことは、団体のアイデンティティを確立し、地域社会からの認知度と信頼性を高めるための重要なツールとなります。さらに、今後はゴミ拾いという枠組みを超え、多角的なコミュニケーションを生み出すための新しい企画にも挑戦していきます。活動テーマを多様化させることで、マンネリ化を防ぎ、より多くの人々が関心を持てるきっかけを作り、地域との繋がりをさらに深めていくことができるからです。
• ビジュアルアイデンティティ: 人と人との関わり合いから新たな価値「+(プラス)」を生み出すチームを象徴するロゴマークと、「そのごみ受け取ります」「いちごみいちえ」というメッセージが書かれたビブス(ベスト)のデザインが正式に決定しました。
【デザインを手がけていただいたのは、鎌倉在住デザイナーの、池田秀人さんです。】
• 今後の活動テーマ案:
◦ 道案内の勉強会: 困っている観光客を助けられるよう、勉強会の開催を検討。
◦ 中国語講座の開催: 「そめさん」を講師に迎え、開催を検討。
◦ 交流イベントの企画: 観光客と住民が共に楽しめるレジンでキーホルダー制作などのイベントを企画を検討。
◦ 参加者募集の多様化: 外国人宿泊施設など、新たな場所での参加者募集を検討。
◦ 地域メディアとの連携: 鎌倉での活動を中心に、地元のメディアなどに活動状況を取り上げてもらう広報活動を検討。
1年の振り返りと、これから
会議の最後には、メンバー全員でこの1年を振り返りました。「ゴミ拾いをやってみて、視野が広がった」「地域コミュニティでの知り合いが増えて嬉しい」「とにかく、いい一年だった」。そんな温かい言葉が次々と交わされました。
何より大きな成果は、「コトオコシ鎌倉」という活動が立ち上がったことそのものです。私たちは、何か完璧な解決策を持っているわけではありません。しかし、諦めるのではなく、まず一歩を踏み出し、対話を重ねていくことの重要性を信じています。
この小さな一歩が、鎌倉の未来を少しずつ、しかし確実に、より良い方向へと動かしていく力になると信じて。来年も地域社会と共にこの旅を続け、対話を具体的な行動へと変えていけることを楽しみにしています。



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