【防災コラム】住んでいる街や自然を知ること

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かまくら暮らしの防災術 実践編「飲み水を確保する」

2025年11月、予報以上の暖かな気温。空は秋晴れ。今回は初参加の方も多く、皆さんちょっと緊張気味に「かまくら暮らしの防災術」がスタートしたました。今回のテーマは「飲み水の確保」。
災害時に自分や家族の命を守るため、どこで水を探し、どうやって安全に飲める水にするのかを学ぶフィールドワークです。
まずは鎌倉駅西口にある観光マップから、鎌倉の地形の特徴と目指す場所について寒川さんからレクチャーがありました。

震災を経験した方、実家が被災にある方、アウトドアスキルを深めたい方、かまくら暮らしの防災術に集まる方の思いはそれぞれ。

街を歩きながら、お話をしていると互いのことを知りながら街の発見もあるのがいいですね。

鎌倉の谷戸地形が育む水

観光客でにぎわう通りを抜け、静けさ漂う海蔵寺方面へ。ここは「鎌倉十井」のひとつ「底脱けの井」があり、鎌倉時代その以前からの水源地として知られる場所です。

寒川さん「気づきました?私たちゆるやかな傾斜をずっと登っていますよ。」
横にはいつの間にか清流がある道に来ています。

寒川さんから谷戸の地形の特徴、そしてそこに流れる水が山から出てきたばかりの比較的綺麗な水であることのお話。
早速、水を採取して皆さんと観察。

ごみは見えなくても、水には細菌、化学物質などが溶け込んでいることも。ここの水が綺麗に見えても試験紙を使った確認は必須ということ。

幸いなことにここの水は有害な物質は含まれていない様。自宅周りの河川等の水の利用を検討しているならば、管理している土木事務所に確認することが大事とのことです。

皆さん、自己責任でこの後のフィールドワークで使う水をこちらで汲みます。

「水は高いところから低いところに流れる。当たり前だけど、その仕組みを自分の住む場所でちゃんと見たことがあるかどうかが大事なんです」と寒川さん

山に囲まれた谷戸地形を観察し、なぜそこに水が湧くのか、どんな地形や地層が関係しているのかを学びました。

水質の見極めと観察力

湧水には苔が美しく生え、微生物の回遊も確認できました。普通考えると飲み水に利用できるの?と思いますが、これらは水質の良さを示す自然のサイン。加えて、pHや硬度などを試薬で測定し、科学的にも水の状態をチェックしました。

寒川さん曰く、

「水質は“科学”と“観察”の両輪で見ていくのが一番。生き物がいない透明な水は逆に要注意です」

海蔵寺の谷戸から、源氏山を目指します。

歴史と自然に学ぶ水の知恵

源氏山に登る途中にも水が湧き出る箇所がありました。見落としているだけで、意外と水の流れはまちの至る所にあるのかもしれません。

豊な水脈の周辺には青々とした葉っぱも育ちます。
今回はユキノシタを採取して、あとで利用することに。一体何に使うのでしょうか。

鎌倉の七切通しの一つ「化粧坂(けわいざか)」。鎌倉時代に山を切り開いたこの道からは、今も水が滲み出ており、長い年月を感じさせる鍾乳化した岩肌も見られます。
この切り通しもかつては人や馬の交通もあり賑わっていた場所でしょう、今ではしがない山道の一つになっています。
そこから漏れ出した水による鍾乳は一体どれぐらいかけてできたのでしょう。

鎌倉はまさに、自然と歴史を肌身で感じられる土地、そんな土地に暮らしていると暮らしや生き方の考え方もちょっと変わってくるかもしれません。

一行はさらに源氏山の頂上を目指します。

山頂に力強く根をはる大木、樹木の周りは3メートル近く。こうした樹木が山や水源を守ってきたのでしょう。
改めて私たちの現在地と、水が出る場所をマップで確認しました。

その後、源氏山公園を抜けて山の上にある「梶原フィールド」へ。鎌倉市街を見下ろす自然豊かな場所で、実際に水をろ過・煮沸し、安全な飲料水をつくる実習を行いました。

自分で“命の水”を確保する体験

数ある浄水の方法から、今回の水は比較的綺麗なため、コーヒーフィルターと煮沸を用いた浄水を行うことに

各ペットボトルに汲んだ湧き水を、浄水器(中空糸膜式)を使ってそのまま飲む体験もしました。さて、そのお味やいかに??

先ほど採取したのユキノシタは一緒に煎じて、ハーブティみたくすることに。ネット情報によると、ユキノシタには解熱やむくみとりなど、排出する効用があるんだとか。

アールグレイティーも入れて紅茶らしくなりました。

ここまでお疲れ様でした。みんなで乾杯!

「まろやかで優しい味がする!」 「天然のミネラルが感じられて、市販の水より美味しいかも」

といった声が上がり、自然の恵みを実感。

寒川さんからは、

「水を見極め、飲料に変える方法を知っておくことが“生きる力”につながります。これは知識じゃなくて“感覚”として身につけておくことが大事」

という言葉が参加者の胸に深く響きました。

まとめ:身近な水源を知ることが防災の第一歩

日常の延長にある「防災」。鎌倉で行われた今回のフィールドワークは、自然と暮らしの距離を近づけ、“備え”をもっと身近に感じさせてくれる貴重な体験になりました。

暮らしの中で、ふとした時に「この辺り、水どこにあるんだろう?」と考えること。それが“防災”のはじまりかもしれません。

それにしても、降りてきて焼き鳥の「秀吉」でのちょい飲みが美味しいことよ。
振り返りも楽しく。防災は楽しく!それが寒川さんのモットー

楽しいことは続くんです。

📌次回は、袋で作る「防災クッキング」!スイーツまで作れるフルコースを体験予定です。どうぞお楽しみに!

■寒川一プロフィール
 アウトドアライフアドバイザー。アウトドアでのガイド・指導はもちろん、メーカーのアドバイザー活動や、テレビ・ラジオ・雑誌といったメディア出演など、幅広く活躍中。とくに北欧のアウトドアカルチャーに詳しい。東日本大震災や自身の避難経験を経て、災害時に役立つキャンプ道具の使い方・スキルを教える活動を積極的に行っている。
著書に『新時代の防災術』『「サボる」防災で生きる』『これからのキャンプの教科書』他


◾️さんがわ せつこ
アウトドアの知恵を生かした災害時にも役立つ料理をメディアやワークショップなどで伝える。北欧の暮らしのエッセンスをレシピにも取り入れている。

開催したイベント
それぞれの備えを考えよう(個人の必要なものに焦点をあて、非常時持ち出しパックをつくる)
アウトドア防災の可能性(衣食住、オフグリッド、生きる優先順位などを学ぶ)
体温をどう守るか(レイヤードシステム、寝袋、マットなど学ぶ)
④アイデア防災クッキング1(実用性のある防災料理をつくる) 
⑤水の確保(水の知識、浄水器の正しい使い方などを学ぶ)

予定しているイベント一覧
⑥安全に火を取り扱う(安全な火おこし、焚き火、有用な火器の取り扱うをフィールドで学ぶ)※
⑦アイデア防災クッキング2(実用性のある防災料理をつくる)
⑧トイレ問題(使い捨てトイレ各種実験、衛生問題を語り合う)
⑨楽しいロープワーク(日常で実用性の高いロープワークを学ぶ)
⑩シェルターづくり(ロープ、シートで森でシェルターをつくってみる)※
⑪鎌倉の地形を学ぶ(ハザードマップや等高線などから鎌倉独自の地形を学ぶ)
⑫役立つ防災アイデア(日常の小さなアイデアからキャンプにも役立つアイデアまで、みなで共有しましょう) 

防災を「暮らしの一部」として取り入れたい方にとって、この連続講座は、新しい学びと気づきの宝庫です。参加したいものだけでも参加できるので、気軽にご連絡ください。

受付担当:上岡 kamioka@kamakura-fudousan.com

かまくら暮らしの防災術

これまでの取り組みやイベント情報を知りたい方は、かまくら暮らしの防災術Facebookグループ『日日是防災』にぜひご参加ください!

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この記事を書いた人

こんにちは、上岡洋一郎です。
鎌倉生まれ育ちの36歳、ハウスメーカー営業、不動産投資会社を経て、不動産屋さんをやっています。不動産を通してこの地域がもっとワクワクできないか、いつも模索しています。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 先日参加させて頂いた只野です。
    実際に参加させて頂いて感じた事です。
    町中の湧水は今まで気にしたことがなかったので気付かなかったんですが、意外と湧いているんだと感じました。
    しかしいざ震災時になってから探し出すのは、かなり難しいとも気付きました。
    普段から湧水を発見しながら散策して、更に湧水すくいポイントも目星しておかなけば、実際の震災時に利用する事が可能に成ると気付かされました。
    また濾過の法則と言うか、化学物質の怖さや煮沸の大切さも、お教え頂き、物凄く勉強になりました。
    ありがとうございました♪

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