椎橋良太「時のトラバース」鎌倉で開催 

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椎橋良太「時のトラバース」鎌倉で開催 —写真を素材に彫刻的アプローチで構成された作品群が、風景に潜む記憶と生命のかたちを浮かび上がらせる

「東アジア文化都市2025鎌倉市」のプログラムとして、中国・韓国・鎌倉の山と空を写真に捉え作品を生み出す椎橋と共に、アーティスト吉田山、生意気のマイケルフランクらをゲストに迎えイベントを開催。

このたび、東アジア文化都市2025鎌倉市の事業の一つとして、現代美術作家 椎橋良太による展覧会 ・アートイベント「時のトラバース」を、鎌倉市浄明寺のQuadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)や朝比奈切通で2025 年 9 月 12 日(金)から 9 月 28 日(日)まで開催します。イベントは9月14日(日)と9月20日(土)。

●自然と人間のあわいに潜む生命のかたち、彫刻的に表現された新しい写真作品を生み出す椎橋良太

椎橋良太は彫刻家としてのバックグラウンドを持ちながら、写真を切り抜き、組み合わせることで新しい表現を探るアーティストです。韓国・光州市立美術館や中国・北京の “Semi-Underground Space” でのアーティスト・イン・レジデンスを経て、各地の山や空の風景を捉えてきました。その土地特有の紙を素材に用い、写真と彫刻の境界を探る作品を制作しています。実際に椎橋良太がカメラで捉えたランドスケープや、万里の長城などの歴史的な人工建造物がコラージュされる作品は、自然と人間のあわいに潜む生命のかたちを見つめる視点が込められています。

Ryota Shiibashi | 椎橋良太,《The Origin #48》, 2019 万里の長城がコラージュされている
Ryota Shiibashi | 椎橋良太,《空のドローイング – 熱海 2024》“ATAMI ART GTANT 2024” , 2024(Photo by Tatsuhiko Nakagawa)

●韓国・中国・横須賀・熱海 そして鎌倉 山と空の風景から生まれるそこにしかないプロジェクト

かつて鎌倉に暮らした椎橋は、現在は、横須賀を拠点にしつつ、異邦人のようにその土地を見つめ、カメラで捉えます。韓国・中国の滞在制作を経て、昨年は熱海アートグラントに参加。その土地固有の歴史や課題にフォーカスした作品を生み出し始めています。山の写真から空を切り出すことを発展させ、街の風景から空を切り出す表現にも昇華させています。世界中の人々がつながり共感できる空をモチーフとしながら、その表現の奥には、椎橋が生活し、訪れてリサーチしてこそ気付くことのできる、独自の視点が潜んでいます。

今回のプロジェクトでは、鎌倉にフォーカスを当てます。「トラバース」は登山家が、山頂を登らずに、その山の中腹を横切るように進む時に使われる言葉です。今年6月には、鎌倉を拠点に活動する現代アーティスト、生意気のマイケル・フランク氏をガイドに椎橋良太は鎌倉・朝比奈切通しや谷戸を歩きリサーチを重ねました。鎌倉という土地に潜む、名もなき時間や歴史の痕跡に目を向けながら、自然と人間のあわいに潜む生命のかたちを見つめる椎橋が、写真を素材とし、彫刻的なアプローチで構成された新作を発表します。さらに、これまで中国・韓国で制作してきた作品を展示し、会期中には、作家とともに鎌倉・朝比奈切通しを歩く参加型のイベントやトークプログラムも開催予定です。

会場のQuadrivium Ostiumは、奥鎌倉と呼ばれる浄明寺エリアの山中に佇むギャラリー。自然の光を取り入れた建築空間で、中国・韓国そして鎌倉と、これまで椎橋がカメラで捉えてきた作品とプロジェクトに触れていただけます。

朝比奈切通をリサーチする椎橋良太、朝比奈切通は塩をはじめ、六浦に届く東アジアからの様々な物資を往来させるために使われた古道(Photo by Hiroaki Sumiya)
鎌倉をリサーチする椎橋良太と生意気マイケル・フランク(今此処商店)

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私は2025年の初夏、梅雨入り前の曇りと晴れが入り混じる時期に、鎌倉の山から海までを歩き回った。

歴史の大きさに圧倒されながらも、住宅地から少し山に入ると豊かな自然が息づいていて、苔や新緑の美しさに目を奪われた。

山には無数の道がついていて、かつてどんな人々がここを歩いたのか想像を巡らせる。ふと足元を見ると、苔むした石が人の通った部分だけ削られて、ツルツルと光っていることに気づく。長い時間をかけた人と自然との静かなせめぎ合い。小さな石にも宿る歴史や時間に少しだけ触れたような感じがした。

私は今回、鎌倉という土地で見つめた「生命のかたちと時間」をテーマに、写真を素材とし、彫刻的なアプローチで構成した新作を発表する。

                                         椎橋良太

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Ryota Shiibashi | 椎橋良太(Photo by Lee In-Sung)

椎橋良太:プロフィール

1979年横浜市生まれ。2004年文星芸術大学美術学部彫刻専攻卒業。

「生命とは何か」という根源的な問いを出発点に、山岳地帯や都市を舞台に自身の身体感覚や体験にもとづいた制作活動を行なっている。自然と人間の境界を行き来しながら、写真を素材としたアナログ技法のコラージュ作品を制作。これまでに韓国、中国でのアーティスト・イン・レジデンスに参加。

Ryota Shiibashi | 椎橋良太
Ryota Shiibashi | 椎橋良太 現代美術作家、椎橋良太のwebサイト。平面、立体、パフォーマンス作品などを制作しています。This is Ryota Shiibashi who is a Japanese artist.



●東アジア文化都市とは

東アジア文化都市」は、日中韓文化大臣会合での合意に基づき、日中韓3か国において、文化芸術による発展を目指す都市を選定し、その都市において、現代の芸術文化や伝統文化、また多彩な生活文化に関連する様々な文化芸術イベント等を実施するものです。これにより、東アジア域内の相互理解・連帯感の形成を促進するとともに、東アジアの多様な文化の国際発信力の強化を図ることを目指します。

また、当該都市がその文化的特徴をいかして、文化芸術・クリエイティブ産業・観光の振興を推進することにより、事業実施を契機として継続的に発展することも目的としています。(主催:東アジア文化都市2025鎌倉市実行委員会、文化庁、鎌倉市)

●ギャラリー Quadrivium Ostiumについて

ギャラリー Quadrivium Ostium 山と空しか見えない立地に立つ。

Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)は鎌倉にある現代アートと古美術を扱うギャラリーです。店名はラテン語で「十字路の入口」を意味し、「様々な時代や場所で作られた芸術品が、縁があり此処に集まり次に引き継がれていく」という思いが込められています。

「美術館のような空間に住まう」をテーマに設計された自邸の1階スペースを使い、ヨーロッパのアンティーク家具や民藝家具を設えた空間に、現代アート作品や古美術を常時30点ほど展示販売しています。建築デザインは国内外のAWARDで受賞しています(※)。近年、力を入れているのは若手作家の紹介で、2025年は絵画、工芸、彫刻の6人のアーティストの企画展覧会を開催いたします。また「藝術を身近に親しむ」をテーマに、様々な文化イベントを開催予定です。

※2023年 A’DESIGN AWARD 受賞(イタリア)/2022年 神奈川県建築コンクール優秀賞 受賞

※椎橋良太「時のトラバース」作品に関するお問い合わせ先

080-5430-6641(担当:黒田)

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この記事を書いた人

こんにちは、上岡洋一郎です。
鎌倉生まれ育ちの36歳、ハウスメーカー営業、不動産投資会社を経て、不動産屋さんをやっています。不動産を通してこの地域がもっとワクワクできないか、いつも模索しています。

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