鎌倉・湘南で家を買う前に必ず知って欲しい「所有権・借地権・地上権」の違い

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不動産の権利は、「登記事項証明書」で確認できます。
ここには、民法206条が定義する強い権利である所有権だけでなく、
地上権・借地権(旧法・新法)といった土地の利用権も、記録されています。

古い住宅地が多い鎌倉では、
所有権だけでなく、旧法借地や複雑な地上権が残っており、
見た目の印象や立地だけでは判断できない物件が非常に多い
のが特徴です。

だからこそ、家探しで見るべきなのは
この土地にはどんな権利が付いているのかという、法律に基づいた情報。
公的資料に書かれた事実として確認できます。

この記事では、初めて家を買う方でも迷わないよう、
所有権・地上権・借地権(旧法含む)の違いと注意点を整理していきます。

目次

1.所有権

所有権は、民法206条が定める「使う・貸す・売る」が自由にできる最も強い権利です。
ただ、この自由さは 登記簿に正しく記録されていること が前提。
不動産登記法では、所有者の氏名・住所・会社法人等番号・連絡先などを登記する理由は、「誰が本当の所有者か」を公的に証明し、取引の安全を守るためです(登記法73条の2)。

ただし鎌倉では、所有権だからといって油断はできません。
谷戸の接道不足、既存不適格、景観・風致地区の制限など、複雑なケースが多いからです。

とはいえ所有権は、将来の売却・相続のしやすさや、建築計画の自由度という面でメリットになります。

参考:e – gov 法令検索 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号) 第二款 所有権に関する登記

https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123#Mp-Ch_4-Se_3-Ss_2

2.地上権

土地を利用する権利にはいくつかの種類があり、その一つが地上権です。地上権は、他人の土地を使って建物などを所有するための権利で、借地権の一形態にあたります。これとよく比較されるのが、一般的な借地で使われる賃借権です。

地上権は、土地を直接支配できる物権であり、地主の承諾がなくても譲渡や転貸ができ、抵当権を設定することも可能です。一方、賃借権は、地主との契約に基づいて土地を使わせてもらう債権で、譲渡や建替えなどに地主の承諾が必要になるなど、権利の行使には一定の制約があります。この違いから、地上権は賃借権よりも権利が強いとされています。

「土地を借りて建物を持つ」形でも、選ばれている権利の種類によって、自由度や将来の扱いは大きく異なります。購入を検討する際には、どの権利が設定されているかを確認することが重要です。

参考:国税庁 地上権、土地の賃借権、使用貸借権の区分
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/09/03.htm

3.旧法借地

旧法借地とは、1992年より前の「旧借地法」に基づいて結ばれた借地契約のことです。土地は地主が所有したまま、建物を借地人が建てて所有する仕組みが前提となっています。

旧法借地では、契約期間が満了しても、建物が残っている限り、地主が更新を拒否するには正当な理由が必要とされます。建替えについても、地主が拒むには合理的な理由が求められるため、契約は更新され続ける前提で成り立っています。1992年以前に結ばれた契約は、現在も有効なまま存続しています。

旧法借地付きの物件を購入する場合、土地は借地のままであり、地代の支払いが続きます。また、契約内容によっては、建替えや名義変更の際に地主の承諾や承諾料が必要になることがあります。これらの条件は契約書ごとに異なるため、購入前に必ず内容を確認することが重要です。

参考:国土交通省 1.借地権の変遷
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000104.html

4.普通借地権

普通借地権は、1992年に施行された借地借家法に基づく借地権です。
借地権の存続期間は30年以上と定められています。

契約期間が満了した場合、借地人が更新を請求したときは、地主が更新を拒否するためには正当事由が必要とされています。
正当事由が認められない場合、借地契約は更新されます。

普通借地権では、土地は地主の所有のままで、借地人が建物を所有します。
契約の内容によっては、建替え、譲渡、転貸等について地主の承諾が必要とされる場合があります。
借地人は、契約に基づき地代を支払います。

定期借地権とは異なり、契約期間満了によって当然に借地権が終了する制度ではありません

参考:国土交通省 定期借地権の解説
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000106.html

5.定期借地権

一般定期借地権は、借地借家法第22条に定められた借地権です。
土地は購入せずに借り、建物は借地人が建てて所有します。

この借地権の存続期間は50年以上と定められており、契約時に
・契約を更新しない
・建物の再築による期間延長をしない
・期間満了時に建物の買取請求をしない
という内容を、公正証書などの書面で明確に定める必要があります。

契約期間が満了すると、借地権は終了し、建物を取り壊して土地を更地で地主に返還するのが原則です。
そのため、購入時点で「土地は将来返すもの」「建物は期限付きで所有するもの」という前提になります。

参考:国土交通省 定期借地権の解説
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000106.html

まとめ

外観や間取り、ロケーションはもちろん大事です。
でも、権利の種類と契約書の中身は、
将来の選択肢そのものを左右します。

  • 建替えはできるのか
  • 更新料はいくらか
  • 契約は旧法か現行法か
  • 地主は誰で、相続登記は終わっているか
  • 承諾料の扱いはどうか

これらはすべて法律に根拠がある決まった事実であり、
感覚や慣習だけで判断してはいけないポイントです。

鎌倉の家は、景観も文化も歴史も魅力的。
だからこそ、土地の権利を理解してから選ぶと、
住んだ後の安心感がまったく違います。

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この記事を書いた人

野生動物や自然が好きな23歳。
不動産仲介とコンテンツ制作をしています。
日々の生活を通して、地域の人や自然の保全に貢献したいと思い、
小さいところから実践しております。

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