🎙️ みんなのアカデミア|帽子デザイナー 山本雅子さん(後編)
鎌倉エフエム「みんなのアカデミア」は、地域で暮らす人々の“学び”と“未来”をつなぐラジオ番組。
ご案内役の中溪裕子さんが、毎回多彩なゲストを迎え、一人ひとりのストーリーに耳を傾けます。
前編では、帽子デザイナー・山本正子さんに、作品づくりへの想いや帽子ができるまでの工程、
そして「見て楽しい、かぶって嬉しい帽子」というモットーのもとで生まれるアートのような帽子の世界を伺いました。
鎌倉の自然に囲まれた暮らしの中で感じるインスピレーションや、沖縄出身ならではの色彩感覚も印象的でしたね。
前半のインタビューはこちらから
そんな前編に続く後編では、正子さんの人生の転機、ものづくりを支えてきた出会い、
そしてこれからの夢について、さらに深くお話を伺います。
👒 東京から高知へ、そして鎌倉へ
華やかな東京のデザイン業界でハンドバッグや衣装の制作に携わっていた正子さん。
そんな日々から一転、夫の故郷・高知県の山あいへ移り住むことになったのが大きな転機でした。
「材料も道具も全部手放したけれど、木型だけはどうしても捨てられなかったんです。」
新しい土地で一年ほど何もすることがなかった日々。
唯一の救いだったのは、毎日通った図書館。
やがて、そこから運命的な出会いが生まれます。
「館長さんから“帽子を展示してみたら?”と声をかけていただいて、そこからまた動き出しました。」
夜な夜な作品を作り続け、1ヶ月の展示で50点もの帽子を発表。
“おしゃべりな帽子たち”というタイトルの展覧会は大きな反響を呼び、新聞にも大きく取り上げられました。
この経験が、帽子作家・山本正子としての再出発のきっかけとなったのです。
🌿 ものづくりを支える力
正子さんは「自分の力だけではなく、いつも周りの人に背中を押されてきた」と語ります。
時に怠けそうになると、誰かが不思議とチャンスを運んできてくれる。
「きっと神様やご先祖様が“この人は遊ばせてはいけない”と思って見ていたのかもしれませんね」と笑います。
ものづくりの原点をたどれば、少女時代の沖縄。
欲しい服が売っていなければ、自分で作る。
「山吹色のセーラーカラーが欲しくて、自分で型紙を作って縫いました。」
その純粋な“つくりたい”という気持ちは、今も変わりません。
📚 鎌倉で描くこれから
これまで国内外で数々の展示を行ってきた正子さん。
今は鎌倉を拠点に、次の夢を静かに温めています。
「若い頃に思っていた“自分の作品集を出したい”という夢を、もう一度叶えたいんです。」
そしてもう一つのテーマは、“人の役に立つ帽子づくり”。
抗がん治療を受ける友人のために医療用の帽子を試作しており、
「少しでも気持ちが明るくなるような帽子を作っていきたい」と語ります。
さらに、思い出深い“図書館”という場所にも特別な想いが。
「自分の故郷にもかまくら駅前蔵書室のようなコミュニティ図書館があったらいいなと思うんです。
人が集まり、知識を交換できる“メダカの学校”のような場所を。」
この“メダカの学校”という言葉には、誰かが教え、誰かが学ぶのではなく、
お互いに教え合い、学び合う“知の循環”という温かな願いが込められています。
🪶 そして未来へ
「目の前のことを一生懸命やっていれば、きっと道は開けると思います。
自分のやっていることを好きでい続けてください。」
最後にそう語る正子さんの言葉は、静かな中にも深い力を感じさせます。
帽子という小さな世界の中に、人生の豊かさや優しさが詰まっている。
そんな正子さんの物語が、これからも鎌倉の風の中で続いていきます。
🎧 鎌倉エフエム「みんなのアカデミア」
案内役:中溪裕子
ゲスト:帽子デザイナー 山本正子さん(後編)
📻 放送アーカイブは「みんなのアカデミア」でお聴きいただけます。
次回のゲストもどうぞお楽しみに!
「みんなのアカデミア ~radio campus, sharing your story」
放送概要
放送局:鎌倉エフエム放送(82.8 MHz)
放送日時:毎週土曜日 14:00~14:30(第5週は休止)
ネット配信:JCBAインターネットサイマルラジオ
番組コンセプト
“ローカル コミュニティ・学び・未来”を軸に、多彩なゲストを迎え、2週にわたって深く語り合うトーク番組です。例えば、既に馴染んだ「SDGs」という言葉が浸透する前から、鎌倉には持続可能な社会を目指し、先駆的な活動を続ける方々がいらっしゃいます。そんな一人ひとりのストーリーが、リスナーに新たな「気づき」や「ひらめき」を届けます。この土地に根付いた風土を感じながら、午後のひとときを学び舎としてご一緒しませんか?

番組タイトル「みんなのアカデミア」は、終戦直後に開校し、4年半の歴史を刻んだ「鎌倉アカデミア」へのオマージュです。
ナビゲーター紹介
中溪 裕子(なかたに ゆうこ)
- 鎌倉生まれ。大学卒業後、ソニー株式会社にて広報・映像制作、エンターテインメントロボット「AIBO」のプロモーションを日本・米国にて担当。
- 現在はジャンルを越えたKOHO(広報+後方)支援および哲学・社会学分野のライターとして活動。
- 2012年より鎌倉エフエムのパーソナリティーを務め、「みんなのアカデミア」の案内役として活躍中。
番組へのご意見、ご感想をお待ちしています。
e-mail: msg@kamakurafm.co.jp
聴き方
- ラジオで聴く:82.8 MHz(鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、逗子市、葉山町、横浜市の一部など広域で聴取可能)
- インターネットで聴く:「今すぐ聴く!」ボタンから鎌倉エフエムにアクセス
- 放送日時:毎週土曜日 14:00~14:30(第5週は休止)

「みんなのアカデミア」は、“ローカル コミュニティ・学び・未来”をテーマに、中溪裕子さんが発信する鎌倉エフエムのラジオ番組です。多彩なゲストを迎え、2週にわたって深く語り合い、持続可能な社会を先駆けて実践してきた人々のストーリーを紹介します。一人一人のお話が、聴く人に新たな気づきやひらめきをもたらし、日常を見つめ直すきっかけとなるでしょう。番組名は戦後の文化教育拠点「鎌倉アカデミア」へのオマージュ。鎌倉の風土を感じながら、午後のひとときを学び舎としてご一緒しませんか?


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