【前編】つくることで、学びがひらく
― ファブラボ鎌倉・渡辺ゆうかさんが語る「場」と「人」のものづくり
鎌倉FMで放送されているラジオ番組
みんなのアカデミア。
「ローカルコミュニティ」「学び」「未来」をキーワードに、
鎌倉という土地で活動する人たちの声を、じっくり・丁寧に届けてくれる番組です。
ただの活動紹介ではなく、その人がどんな背景を持ち、何を大切にしてきたのか。
ラジオだからこそ伝わる“温度”と“間”が、この番組の魅力です。
今回のゲストは、
ファブラボ鎌倉 代表の 渡辺ゆうかさん。
前編では
- ファブラボ鎌倉とはどんな場所なのか
- なぜ「鎌倉」で続いてきたのか
- そして、渡辺さんが大切にしている“人が集う場”としての思想
について、ゆっくりと言葉を重ねていきます。
ファブラボ鎌倉とは?
テクノロジーと地域が、自然に交わる場所
3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を使い、
「つくりながら学ぶ」ことを実践する場所、ファブラボ。
ファブラボ鎌倉は、2011年に誕生した
日本・東アジアで最初のファブラボでもあります。
鎌倉駅西口から少し歩いた先、
秋田県から移築された“蔵”の中にあるこの場所は、
最先端のテクノロジーと、日本の古い建築文化が同居する、少し不思議で心地よい空間。
渡辺さんはこう語ります。
「新しい技術だからこそ、
日本の文化や歴史と一緒に育っていく場所でありたかった」
効率やスピードよりも、
人の手触りや、地域の文脈を大切にする。
その姿勢が、ファブラボ鎌倉の空気感をつくっています。
世代も立場も超えて、人が混ざる
ファブラボ鎌倉に集う人たちは、とても多様です。
- ものづくりが好きな子どもたち
- 学校になじめなかった中高生
- 子育て中の親世代
- リタイア後に地域へ戻ってきた技術者
- 研究者やクリエイター
共通しているのは、
「つくってみたい」「知りたい」という気持ち。
渡辺さんが特に大切にしているのは、
年齢や肩書きで人を分けないこと。
「同じ空間で、同じ目的に向かって手を動かすと、
自然と世代の壁はなくなるんです」
ここでは、教える人/教えられる人、
大人/子ども、という関係も固定されません。
その“ゆるさ”こそが、居心地の良さにつながっています。
鎌倉だからこそ、生まれた循環の発想
― ファブシティという考え方
2018年、鎌倉市は日本で初めて
「ファブシティ宣言」を行いました。
これは
- データは世界で共有し
- 資源は地域で循環させる
という考え方。
リサイクル率の高い鎌倉という土地で、
集めた資源を「もう一度、使う」だけでなく、
かたちを変えて、暮らしに戻す。
ペットボトルキャップが、
3Dプリンターで新しい生活用品に生まれ変わる。
そんな小さな実践を、
市民一人ひとりが体験できる場所として、
ファブラボ鎌倉は機能しています。
「場」をつくる人としての渡辺ゆうかさん
前編で強く伝わってくるのは、
渡辺さんが機械よりも、人を見ているということ。
ファブラボを
「マシンを使う場所」ではなく、
人と人が出会い、学び直し、自信を取り戻す場所として育ててきた。
その背景や、
渡辺さん自身の人生とファブラボとの出会いについては、
後編で、さらに深く語られていきます。
ラジオでは、言葉の選び方や間合いからも、
渡辺さんの誠実さと、場づくりへの覚悟が伝わってきます。
まずは、耳を傾けてみてください
この記事では伝えきれない
声のトーン、笑い、沈黙。
それこそが
みんなのアカデミアの醍醐味です。
「ものづくり」
「学び」
「居場所」
どれか一つでも心に引っかかる方は、
ぜひラジオを聴いてみてください。
▶ 次回【後編】へつづく
後編では、
- 渡辺優香さん自身のこれまでの歩み
- 事故と療養、学び直しの経験
- ファブラボ鎌倉が目指すこれからの未来
について、より個人的なストーリーが語られます。
「みんなのアカデミア ~radio campus, sharing your story」
放送概要
放送局:鎌倉エフエム放送(82.8 MHz)
放送日時:毎週土曜日 14:00~14:30(第5週は休止)
ネット配信:JCBAインターネットサイマルラジオ
番組コンセプト
“ローカル コミュニティ・学び・未来”を軸に、多彩なゲストを迎え、2週にわたって深く語り合うトーク番組です。例えば、既に馴染んだ「SDGs」という言葉が浸透する前から、鎌倉には持続可能な社会を目指し、先駆的な活動を続ける方々がいらっしゃいます。そんな一人ひとりのストーリーが、リスナーに新たな「気づき」や「ひらめき」を届けます。この土地に根付いた風土を感じながら、午後のひとときを学び舎としてご一緒しませんか?

番組タイトル「みんなのアカデミア」は、終戦直後に開校し、4年半の歴史を刻んだ「鎌倉アカデミア」へのオマージュです。
ナビゲーター紹介
中溪 裕子(なかたに ゆうこ)
- 鎌倉生まれ。大学卒業後、ソニー株式会社にて広報・映像制作、エンターテインメントロボット「AIBO」のプロモーションを日本・米国にて担当。
- 現在はジャンルを越えたKOHO(広報+後方)支援および哲学・社会学分野のライターとして活動。
- 2012年より鎌倉エフエムのパーソナリティーを務め、「みんなのアカデミア」の案内役として活躍中。
番組へのご意見、ご感想をお待ちしています。
e-mail: msg@kamakurafm.co.jp
聴き方
- ラジオで聴く:82.8 MHz(鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、逗子市、葉山町、横浜市の一部など広域で聴取可能)
- インターネットで聴く:「今すぐ聴く!」ボタンから鎌倉エフエムにアクセス
- 放送日時:毎週土曜日 14:00~14:30(第5週は休止)

「みんなのアカデミア」は、“ローカル コミュニティ・学び・未来”をテーマに、中溪裕子さんが発信する鎌倉エフエムのラジオ番組です。多彩なゲストを迎え、2週にわたって深く語り合い、持続可能な社会を先駆けて実践してきた人々のストーリーを紹介します。一人一人のお話が、聴く人に新たな気づきやひらめきをもたらし、日常を見つめ直すきっかけとなるでしょう。番組名は戦後の文化教育拠点「鎌倉アカデミア」へのオマージュ。鎌倉の風土を感じながら、午後のひとときを学び舎としてご一緒しませんか?


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