防災コラム12 「生きる」を暮らしの真ん中に 【最終回】

『かまくら暮らしの防災術』第2期を終えて

立春を過ぎ、暦の上では春。鎌倉の街にも暖かな風が吹き込む季節となりました。

2025年9月から半年間にわたり、月2回のペースで開催してきた「かまくら暮らしの防災術」第2期が、ついに最終回を迎えました。NIHO kamakuraの会場に集まったのは、この半年間、共に学び、笑い、森でロープと格闘した仲間たち。今回は、非常食を囲みながら未来の防災を語り合った、熱い夜の様子をお届けします。

■ 「建て前」ではない、血の通った防災を

最終回のメインイベントは、全員で囲む「防災食パーティ」です。 お皿にサランラップを敷き(洗い物を減らす術!)、90分以上水に浸した「浸水パスタ」を茹であげます。自衛隊仕様のソーセージや、温めなくても美味しいカレー、缶詰の焼き鳥……。

「これ、本当に乾麺? もちもちして美味しい!」「このカレー、冷たいままでも全然いけるね」

そんな声が飛び交う中、食事を楽しみながら語り合う時間は、まさに「暮らし」そのもの。
寒川一さんは言います。

「いつも防災のことばかり考えている必要はない。けれど、気持ちの数パーセントに常にそれがある。それが『暮らしの一部』になっている状態が理想なんです」

行政が用意する「マニュアル」としての防災ではなく、私たちが日々、鎌倉で生きていくための「地肉となった知恵」。第2期では、街のイベント『もしかま』への出展や、新潟県糸魚川市との市民交流など、活動の輪が「点」から「線」へと広がり、地域を超えた繋がりが生まれる手応えを感じることができました。

■ 森で「開眼」した、ロープワークの本質

座談会で一番の盛り上がりを見せたのは、意外にも「なぜロープワークは覚えられないのか?」という話題でした。AIに答えを求めた参加者のエピソードに笑いが起きる中、寒川さんが見抜いた本質は明快でした。

「必然性があるかどうか」。

机の脚に結ぶ練習では覚えられなくても、森の中で「ここにシェルターを張らなければならない」という切実な状況(必然)に出会ったとき、人は驚くほど自然に手が動くようになります。第3期では、こうした「実体験」と「暮らしの必然」をさらに掛け合わせた場を作っていく予定です。

■ 広がる「防災の輪」 —— 糸魚川、伊豆、そして次世代へ

今期は、活動が大きく外へと広がった期でもありました。

  • 『もしかま』への出展: 鎌倉最大級の防災イベントで、私たちの活動を広く知ってもらう機会となりました。
  • 糸魚川との連携: 新潟県糸魚川市でも「暮らしの防災術」がスタート。地形も気候も違う街と「防災」を共通言語に繋がることで、自分たちの街を客観的に見る視点が得られました。
  • 個々の活動: 月1で伊豆のキャンプ場とコラボするメンバー、ビジネスマンやジュニア向けのキャンプを構想するメンバー、やさしい日本語や対話を通して災害と向き合うメンバー。

「暮らしの防災術」は、いつの間にか単なるイベント活動ではなく、参加者一人ひとりが自分の得意分野と掛け合わせ、広げていくプラットフォームへと進化しつつあります。

■ 第3期、そしてその先へ。私たちが描く未来

座談会では、参加者の皆さんから次々と新しいアイデアが飛び出しました。

  • 防災トレッキング: 観光と防災を掛け合わせ、街の地形や避難ビルを歩いて覚える。
  • 止血と応急処置: AEDだけでなく、身近な布を使った救急術をマスターする。
  • パッキングの極意: 重い荷物をいかに楽に、効率よく運ぶか。
  • 次世代へのバトン: 子供たちがサバイバルを楽しみながら、生きる力を身につける場を作る。

私たちは、防災を「特別なこと」にしたくありません。美味しいものを食べ、焚き火を囲み、仲間と繋がる。その延長線上に「生き抜く力」がある。そんな、優しくて強いコミュニティが鎌倉から広がり始めています。

■ 次回、フィールドでお会いしましょう!

3月14日・15日には、第2期の総仕上げとして茅ヶ崎市柳島キャンプ場での実践イベントを開催します。

第3期も、また新しい「驚き」と「学び」を考えていますよ。 「防災」という窓から、自分の暮らしを、そしてこの自分たちの住む鎌倉の街を見つめ直してみませんか?

これまで支えてくださった皆さんに感謝を込めて。 そして、これから出会う皆さんにワクワクを込めて!

鎌倉ひとはこ 代表 上岡 洋一郎

アウトドアライフアドバイザー 寒川ご夫妻のご紹介

寒川一さん

 アウトドアライフアドバイザー。アウトドアでのガイド・指導はもちろん、メーカーのアドバイザー活動や、テレビ・ラジオ・雑誌といったメディア出演など、幅広く活躍中。とくに北欧のアウトドアカルチャーに詳しい。東日本大震災や自身の避難経験を経て、災害時に役立つキャンプ道具の使い方・スキルを教える活動を積極的に行っている。
著書に『新時代の防災術』『「サボる」防災で生きる』『これからのキャンプの教科書』他

寒川せつこ さん

アウトドアの知恵を生かした災害時にも役立つ料理をメディアやワークショップなどで伝える。北欧の暮らしのエッセンスをレシピにも取り入れている。

参加者の方の声

鎌倉市在住 Yさん
必ず来る自然災害。その時に大切なのは「自分や家族を守り抜くスキル」があればと受講しました。
「起こらないだろう」という正常性バイアスにとらわれず、自助の力としてのアウトドア防災を身につけておくこと。
それは周囲に依存せず、迷惑を最小限にとどめる備えと考えて参加し続けています。

逗子市在住 Iさん
防災用に買った浄水器を使わずにいたけれど、鎌倉の湧水ワークショップを知り関心が高まりました。監修は焚き火カフェの寒川さん。インスタで見つけた防災講座に1月から参加し、毎回新しい発見があります。いつか自分の体験をもとに、防災ワークショップの輪を広げていきたいと思っています。

鎌倉市在住 Sさん
防災という非日常を意識する行為をいかに日常に溶け込ませるか、という点に意識を置かれている講座です。 各回それぞれの学びがとても深いのももちろんですが、連続して参加することにより、定期的に防災について考える機会ができ、意識が自然と高まる事が他の講座にはない魅力だと思います。いつでもどなたでも参加できます!

暮らしの防災コラム

これまでの取り組みやイベント情報を知りたい方は、かまくら暮らしの防災術Facebookグループ『日日是防災』にぜひご参加ください!

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この記事を書いた人

こんにちは、上岡洋一郎です。
鎌倉生まれ育ちの36歳、ハウスメーカー営業、不動産投資会社を経て、不動産屋さんをやっています。不動産を通してこの地域がもっとワクワクできないか、いつも模索しています。

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