防災コラム8 トイレから考え直す防災

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🧻「トイレ問題」から考える防災の“新・3の法則”

かまくら暮らしの防災術第8回「災害時のトイレ問題」

年の瀬に差しかかる12月。寒さも深まりつつある鎌倉で、第8回目となる「かまくら暮らしの防災術」が開催されました。今回のテーマは、災害時におけるトイレの確保と排泄の問題。これまでの防災講座の中でも、特に生活と切り離せない「現実的な課題」として、多くの共感と学びが生まれた回でした。

🚽「トイレ問題」は命に関わる

災害が起きたとき、飲料水や食料の備蓄に目が向きがちですが、実は最も早く困るのが「トイレ」です。講座では、参加者のリアルな声が印象的でした。

  • 「アウトドアでの経験から、トイレは本当に切実な問題」
  • 「トイレを我慢するために水を飲むのを控える人が出てくる」
  • 「被災時に“排泄のための安心空間”がないことで、健康を損なう例もある」

特に熊本地震では、水分摂取を控えたことによる“災害関連死”が起きたという事例も紹介され、参加者の間でも大きな関心を集めました。

🧠 トイレも「新・3の法則」に加えるべき?

防災界で知られる「3の法則」

  1. 3分:酸素(呼吸)
  2. 3時間:体温維持
  3. 3日:飲料水の確保

この「3の法則」に、“トイレ(排泄)”を新たに組み込みたいという提案が講座内でなされました。なぜなら、排泄環境の欠如は、飲水や食の摂取にブレーキをかけてしまい、結果的に健康を害するからです。

日本トイレ研究所の調査では、災害時に「5時間以内にトイレに行きたくなる人」が3割以上というデータもあり、排泄は“命のための行動”と捉える視点が求められています。

そこから「3の法則」、3分、3時間、3日の間に「トイレを確保する300分」を入れた「新・3の法則」を提唱。

🚗 実体験から学ぶ「携帯トイレ」の必要性

講師陣が実際に車中泊やキャンプなどの体験から持ち寄った携帯トイレグッズは、参加者にとって具体的なイメージを持つきっかけとなりました。

  • 視界を遮るポンチョ型カバー
  • 密閉・処理用の袋や凝固剤
  • 手袋や消毒セットとの組み合わせなど

単に“モノを備える”のではなく、“使ってみて初めて気づく安心”がある。これも今回の学びのひとつでした。

🌐 他地域とのつながりと「知の共有」

本講座は鎌倉だけでなく、新潟県糸魚川市でも同じ名称で展開されています。糸魚川では豪雪地帯ならではの視点から「衣食住」のテーマが掘り下げられており、将来的には地域を越えた学びの交流も視野に入れているとのこと。

📝 まとめ

  • 排泄問題=命の問題と捉える視点が今後の防災には不可欠
  • 「新・3の法則」にトイレを組み込む発想は、防災意識のアップデートになる
  • 備蓄だけでなく、「実際に使ってみること」が真の備え
  • 地域を越えた防災の知見共有が、新しい連携を生む

次回は「ロープワーク」をテーマにした講座も予定されているとのこと。日常と災害の境界をなくす取り組みとして、暮らしに根ざした防災の形がますます求められていきます。

アウトドアライフアドバイザー 寒川ご夫妻のご紹介

寒川一さん

 アウトドアライフアドバイザー。アウトドアでのガイド・指導はもちろん、メーカーのアドバイザー活動や、テレビ・ラジオ・雑誌といったメディア出演など、幅広く活躍中。とくに北欧のアウトドアカルチャーに詳しい。東日本大震災や自身の避難経験を経て、災害時に役立つキャンプ道具の使い方・スキルを教える活動を積極的に行っている。
著書に『新時代の防災術』『「サボる」防災で生きる』『これからのキャンプの教科書』他

寒川せつこ さん

アウトドアの知恵を生かした災害時にも役立つ料理をメディアやワークショップなどで伝える。北欧の暮らしのエッセンスをレシピにも取り入れている。

◽️今後開催予定のイベント
⑨楽しいロープワーク(日常で実用性の高いロープワークを学ぶ)
⑩シェルターづくり(ロープ、シートで森でシェルターをつくってみる)※
⑪鎌倉の地形を学ぶ(ハザードマップや等高線などから鎌倉独自の地形を学ぶ)
⑫役立つ防災アイデア(日常の小さなアイデアからキャンプにも役立つアイデアまで、みなで共有しましょう)

参加者の方の声

鎌倉市在住 Yさん
必ず来る自然災害。その時に大切なのは「自分や家族を守り抜くスキル」があればと受講しました。
「起こらないだろう」という正常性バイアスにとらわれず、自助の力としてのアウトドア防災を身につけておくこと。
それは周囲に依存せず、迷惑を最小限にとどめる備えと考えて参加し続けています。

逗子市在住 Iさん
防災用に買った浄水器を使わずにいたけれど、鎌倉の湧水ワークショップを知り関心が高まりました。監修は焚き火カフェの寒川さん。インスタで見つけた防災講座に1月から参加し、毎回新しい発見があります。いつか自分の体験をもとに、防災ワークショップの輪を広げていきたいと思っています。

鎌倉市在住 Sさん
防災という非日常を意識する行為をいかに日常に溶け込ませるか、という点に意識を置かれている講座です。 各回それぞれの学びがとても深いのももちろんですが、連続して参加することにより、定期的に防災について考える機会ができ、意識が自然と高まる事が他の講座にはない魅力だと思います。いつでもどなたでも参加できます!

暮らしの防災コラム

これまでの取り組みやイベント情報を知りたい方は、かまくら暮らしの防災術Facebookグループ『日日是防災』にぜひご参加ください!

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この記事を書いた人

こんにちは、上岡洋一郎です。
鎌倉生まれ育ちの36歳、ハウスメーカー営業、不動産投資会社を経て、不動産屋さんをやっています。不動産を通してこの地域がもっとワクワクできないか、いつも模索しています。

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