鎌倉のひとに学びつながるとは
「鎌倉のひとに学びつながる」は、鎌倉で暮らし、働き、活動する“ひと”に焦点を当てたインタビューシリーズ。
市民が市民にインタビューし、地域に生きるそれぞれの想いや生き方を共有することで、学び合い・つながり合う場をつくっています。

鎌倉を描く、人を描く。線がつなぐ物語
今回のゲストは、イラストレーター・アーティストとして活動する ほりはる さん。
前編では「描くことが怖くなっていた自分が、絵日記を通じて再び描く喜びを取り戻した」エピソードを伺いました。
後編では、独立後に広がるお仕事、そして“今を生きる表現”について深く語ってくださいました。
ご縁から始まった「ホテルメトロポリタン鎌倉」との仕事
独立して2年目。
ほりはるさんにとって特に印象的だった仕事が、ホテルメトロポリタン鎌倉とのコラボレーション。
宿泊者向けの「秋の紅葉ガイド」のイラスト制作から始まり、
ポストカードや周年記念作品など、継続的なつながりへと発展しました。


「宣伝ではなく“鎌倉の魅力を伝えたい”という思いに共感しました。
無名の私を見つけてくださったご縁が、本当に嬉しかったです。」


お互いが“初めてづくし”のプロジェクト。
丁寧な対話を重ねながら、心から鎌倉を楽しむ宿泊者の姿を思い描き、
絵を通して「まちの魅力」を届けていく喜びを感じたといいます。
海の石に描く “ひとにぎり” という出会い
鎌倉で年に2回開催される「鎌人いち場(かまんどいちば)」をきっかけに生まれた作品《ひとにぎり》。
海辺で拾った石に絵を描き、来場者が自分の直感で選び、手のひらで握るように持ち帰る作品です。

「お金の交換だけじゃなくて、人と石が出会って作品になる。
そんな“自分のお守りを見つけるような感覚”を届けたくて始めました。」
石の形も模様もすべてが一点もの。
拾うところから描くまで、すべては「今、この瞬間の感覚」から始まります。
まるで自然との対話をそのまま形にしたような作品です。
指先で描く感情の色 “こころ模様”
もう一つのシリーズ作品《こころ模様》は、筆を使わず指や手のひらで描かれた抽象画。
心に浮かんだ色や動きを、丸いキャンバスに映し出すように描かれます。

「感情を表すというより、無意識の動きを拾い上げている感じ。
見る人が自分の心を映す“鏡”のような作品になれば嬉しいです。」
描いた本人も、見る人も、
その時の感情や直感で受け取り方が変わる。
そこにこそ、“今”を生きる表現の自由があると感じているそうです。

「今を描く」という生き方
「昔は目標を決めて結果を出すのが得意でした。
でも今は“今できることを丁寧にやる”方が心地いい。」

鎌倉というまちの人と出会い、
変わりゆく日々の中で“今を描く”ことがほりはるさんの軸になりました。
「過去にとらわれず、出会う人や風景をまっさらな気持ちで見る」——
その積み重ねが、次の作品につながっていくといいます。
「忘れることは、手放すこと。
そして手放した先でまた新しいご縁が生まれるんです。」
理想は“釜爺”のように、表現を調合する人
「『千と千尋の神隠し』の釜爺みたいに、
出会った人や場に合わせて“薬を調合するように”作品を生み出したい。」
線も、色も、素材も自由に行き来しながら、
出会った人と一緒に“今しかできない表現”をつくっていく。
それが、ほりはるさんの理想の姿です。
学びとは、自分と世界をつなぐ接点
「私にとって学びとは、自分と世界をつなぐ接点をつくること。
学ぶことで世界の見え方が変わって、自分が生きやすくなる。
だから、日々が学びそのものです。」
描くことを通して、自分をひらき、世界とつながっていく。
ほりはるさんの“学び”の形は、鎌倉のまちそのものと響き合っているようでした。
イベント情報
🎨 鎌人いち場 2025(かまんどいちば)
日程:10月26日(日)9:00〜16:00
会場:鎌倉海浜公園(由比ヶ浜地区)
出展作品:《ひとにぎり》《ひとむすび》など
当日はイラストスクール時代の友人とのコラボ作品も登場予定。
詳細は 鎌人いち場公式サイトをチェック!

編集後記
「描く」という行為が、誰かと出会い、世界と交わる“接点”になっているほりはるさん。
その線は、見る人の心をそっとつなぐ一本の糸のようでした。
鎌倉のまちと人の物語を描き続けるほりはるさんのこれからが、とても楽しみです。
次回の「鎌倉のひとに学びつながる」もお楽しみに!
山崎奈々絵さんが、地域で活動する新たなゲストの“学び”と“つながり”をお届けします。
ここからつながる
「鎌倉のひとに学びつながる」では、地域で活躍するローカルヒーローたちを数多く紹介しています。暮らしや文化を支える人々のストーリーに触れることで、鎌倉のまちをもっと身近に感じていただけるはずです。ぜひこちらのサイトもご覧ください!



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