鎌倉を「鳥の目」で見つめ直す。地形から見えてきた、私たちの「本音の防災」

鎌倉の街を歩いていると、ふとした瞬間に坂道に出会います。海があり、山があり、入り組んだ谷戸がある。この美しい「地形」は、災害時にはどのような姿を見せるのでしょうか。
2月12日、コミュニティスペース「PLAIN鎌倉」にて開催された第11回「かまくら暮らしの防災術」。今回は、学生防災普及団体「GENKAI」からお借りした立体等高マップを囲み、鎌倉の地形を「俯瞰」することで見えてきた、これからの暮らしの備えについてレポートします。
「立体」だからこそわかる、水の道と逃げ道

今回のメインは、段ボールを重ねて作られた鎌倉の立体模型です。平面のハザードマップでは「色が塗られている場所」としてしか認識できない情報が、立体になることで一気に生々しさを増します。
- 「水の集まる場所」を予測する 山と尾根が複雑に連続する鎌倉の地形。スポイトで水を垂らせば、どこの沢に水が溜まり、どの川が氾濫しやすいか、ドローンのような「鳥の目線」で直感的に理解できます。
- 30メートルラインの死守 「津波想定が15メートルなら、その倍の30メートルまで駆け上がれるのがベスト」。実際に地図上で指を動かしてみると、駅周辺から寿福寺の裏山など、30メートル地点までダッシュで何分かかるのか、その距離感がリアルに突きつけられました。

日本最古の防災記録?『方丈記』に学ぶミニマリズム
参加者の山田さんから紹介されたのは、鎌倉時代の文学『方丈記』。著者の鴨長明は、相次ぐ災害を目の当たりにし、最終的に3メートル四方の「モバイルハウス」での暮らしを選びました。
「人間関係の中だけで生きていると、それが崩れた時にダメージが大きい。半分自然に身を置くことで、しぶとさが生まれる」。 この視点は、講師の寒川さんが提唱する「自立したアウトドアの知恵」とも深くリンクします。文明の利器が途絶えたとき、私たちを助けるのは、自然と折り合うための「知恵」と「技術」なのです。
「建前の防災」から「本音の防災」へ

ハザードマップの矢印の先に、もし300メートルの壁(横須賀線の車両)が立ち塞がっていたら? 5人の子供を連れて逃げなければならなかったら?
一人ひとり、住んでいる場所も、抱えている家族の状況も違います。「こうすれば正解」というパッケージ化された防災ではなく、地形を知り、隣人の顔を知り、自分の家のリスクを本音で語り合う。
「死なないための工夫」のその先にある、「生き残った後に、どう生き続けるか」。 鎌倉の深い谷戸の地形で、私たちはこれからも、繰り返し、しつこく、楽しみながら「暮らしの防災」をアップデートし続けていきます。

アウトドアライフアドバイザー 寒川ご夫妻のご紹介
寒川一さん

アウトドアライフアドバイザー。アウトドアでのガイド・指導はもちろん、メーカーのアドバイザー活動や、テレビ・ラジオ・雑誌といったメディア出演など、幅広く活躍中。とくに北欧のアウトドアカルチャーに詳しい。東日本大震災や自身の避難経験を経て、災害時に役立つキャンプ道具の使い方・スキルを教える活動を積極的に行っている。
著書に『新時代の防災術』『「サボる」防災で生きる』『これからのキャンプの教科書』他
寒川せつこ さん
アウトドアの知恵を生かした災害時にも役立つ料理をメディアやワークショップなどで伝える。北欧の暮らしのエッセンスをレシピにも取り入れている。


今後開催予定のイベント
⑨楽しいロープワーク(日常で実用性の高いロープワークを学ぶ)
⑩シェルターづくり(ロープ、シートで森でシェルターをつくってみる)※
⑪鎌倉の地形を学ぶ(ハザードマップや等高線などから鎌倉独自の地形を学ぶ)
⑫役立つ防災アイデア(日常の小さなアイデアからキャンプにも役立つアイデアまで、みなで共有しましょう)
参加者の方の声
鎌倉市在住 Yさん
必ず来る自然災害。その時に大切なのは「自分や家族を守り抜くスキル」があればと受講しました。
「起こらないだろう」という正常性バイアスにとらわれず、自助の力としてのアウトドア防災を身につけておくこと。
それは周囲に依存せず、迷惑を最小限にとどめる備えと考えて参加し続けています。
逗子市在住 Iさん
防災用に買った浄水器を使わずにいたけれど、鎌倉の湧水ワークショップを知り関心が高まりました。監修は焚き火カフェの寒川さん。インスタで見つけた防災講座に1月から参加し、毎回新しい発見があります。いつか自分の体験をもとに、防災ワークショップの輪を広げていきたいと思っています。
鎌倉市在住 Sさん
防災という非日常を意識する行為をいかに日常に溶け込ませるか、という点に意識を置かれている講座です。 各回それぞれの学びがとても深いのももちろんですが、連続して参加することにより、定期的に防災について考える機会ができ、意識が自然と高まる事が他の講座にはない魅力だと思います。いつでもどなたでも参加できます!
暮らしの防災コラム
- 第1回「正解のない防災を自分ごとで考える」
- 第2回「助けてもうらことも防災」
- 第3回「寒さは命に関わる」
- 第4回「食から考える防災」
- 第5回「住んでいる街や自然を知ること」
- 第6回「サプライズの気持ちを忘れずに」
- 第7回「火を学ぶ、火と暮らす」
- 第8回「トイレから考え直す防災」
これまでの取り組みやイベント情報を知りたい方は、かまくら暮らしの防災術Facebookグループ『日日是防災』にぜひご参加ください!





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