防災コラム10 「最小限で最大限を」

こんにちは。鎌倉ひとはこの上岡です。鎌倉での暮らしに役立つ防災の知恵をお届けする本コラム。 第10回はこれまでのロープワークの集大成ともいえる「屋外でのシェルターづくり」をレポートします。

場所は、落ち葉がふかふかと積もる冬の森。 講師に寒川一さんを迎え、いざという時に自分たちの身を守る「屋根」を、最小限の道具で作り上げる術を学びました。

すべての基本は「ふたつ結び」と「自在結び」

シェルターづくりに入る前に、まずは徹底した復習からスタートです。 寒川さんが「これさえあれば、かなり応用が効く」と強調するのが、「ふたつ結び」と「自在結び」

特に、ロープの張りを自由に調整できる「自在結び」は、シェルターやタープをピンと張るために欠かせません。指先が凍えるような寒さの中でも、グローブをつけたまま結べるようになることが理想です。 「暮らしの中にこの結びを取り入れてほしい」と寒川さん。食器棚の飛び出し防止や洗濯物干しなど、日常で繰り返し使うことが、いざという時の確実な技術に繋がります。

「張り」が命。1人でタープを立てるコツ

いよいよ実践。まずはキャンプ用のタープを使い、基本の形を学びます。 「タープは家を建てるのと同じ」という寒川さんの言葉通り、まずは風向きや太陽の位置、周囲との関係を考えて位置を決めます。

1人で立てる際のポイントは、事前の計画です。

  1. 地面にタープを広げ、サイズ感を掴む。
  2. ポールの長さの約3分の2の位置に、あらかじめペグを打っておく。
  3. ロープをゆるめに掛けてから、ポールを立ち上げ、最後に自在結びで一気に締め上げる。

重要なのは、センターのラインを「パツンパツン」に張ること。ここにシワが入っていると、雨が溜まり、風の抵抗を受けやすくなってしまいます。

驚くべき「シート1枚」の保温力

次に、よりサバイバルに近い「ブルーシート(レジャーシート)」を使ったシェルターづくりに挑戦しました。 木と木の間にロープを1本渡し、そこにシートを掛けてペグで固定するだけのシンプルな「Aフレーム」。

実際にその下で横になってみると、驚きの声が上がりました。 「……あったかい!」

風を遮るだけで体感温度は劇的に変わります。自分の体温がシートに反射し、包まれているような安心感が生まれるのです。 「エマージェンシー(緊急時)のシェルターは、工夫次第で快適性を待たせることができる」と寒川さんは言います。

現地にあるものを「味方」にする

もし、ペグやポールが足りなかったら? そんな時は、周囲に落ちている枝や葉っぱが道具になります。

  • 即席ペグ:真っ直ぐな枝を削り、力の芯が通るように杭を作る。
  • デブリハット:枝を組み、その上に落ち葉を厚く積もらせる。落ち葉の層が「ダウンジャケット」のような空気層になり、地熱を逃さず守ってくれます。
  • 重しの活用:袋に枯れ葉を詰めれば、即席の枕やクッション、断熱材に早変わり。

自由な「住まい」をポケットに

1本のロープ、1枚のシート、そして1本のナイフ。 これらがあれば、どんな環境でも自分を保護する空間を作り出せます。
「最小限の道具で、最大限のパフォーマンスを」アウトドア防災の本質を学べる回になりました。

「固定された家と違い、シェルターには自由度がある。暑ければ上げ、寒ければ下げる。状況に合わせて対話するように作ること」

寒川さんの教えは、技術以上に「どんな状況でも自分の手でなんとかできる」という自信を私たちに与えてくれました。 皆さんも、まずは1本のパラコードを手に入れて、身近なところから「自在結び」を試してみませんか?

その小さな結び目が、いつかあなたを守る大きな力になるはずです。


今回の教訓:

  • タープのシワは技術の甘さ。センターをパツンと張るべし。
  • 風上を閉じるだけで、シェルター内は驚くほど暖かくなる。
  • 枝は友達。ナイフ1本でペグも柱も作れるようになろう。

おまけ

2026年最初の屋外イベントということもあり、参加できる方と新年会を開催しました。
寒川さんの大好きなサイゼリヤ。アウトドア防災から一番かけ離れた、頼べば料理が出てくる、美味い、安い、早いの三拍子。
こんな日常を享受できることに感謝し楽しむことも大事だよねと。
また第3回目のかまくら暮らしの防災術の開催案や、デイキャンプ、新しいイベント企画案など、各々メンバーで話に華が咲きました。

目次

アウトドアライフアドバイザー 寒川ご夫妻のご紹介

寒川一さん

 アウトドアライフアドバイザー。アウトドアでのガイド・指導はもちろん、メーカーのアドバイザー活動や、テレビ・ラジオ・雑誌といったメディア出演など、幅広く活躍中。とくに北欧のアウトドアカルチャーに詳しい。東日本大震災や自身の避難経験を経て、災害時に役立つキャンプ道具の使い方・スキルを教える活動を積極的に行っている。
著書に『新時代の防災術』『「サボる」防災で生きる』『これからのキャンプの教科書』他

寒川せつこ さん

アウトドアの知恵を生かした災害時にも役立つ料理をメディアやワークショップなどで伝える。北欧の暮らしのエッセンスをレシピにも取り入れている。

◽️今後開催予定のイベント
⑨楽しいロープワーク(日常で実用性の高いロープワークを学ぶ)
⑩シェルターづくり(ロープ、シートで森でシェルターをつくってみる)※
⑪鎌倉の地形を学ぶ(ハザードマップや等高線などから鎌倉独自の地形を学ぶ)
⑫役立つ防災アイデア(日常の小さなアイデアからキャンプにも役立つアイデアまで、みなで共有しましょう)

参加者の方の声

鎌倉市在住 Yさん
必ず来る自然災害。その時に大切なのは「自分や家族を守り抜くスキル」があればと受講しました。
「起こらないだろう」という正常性バイアスにとらわれず、自助の力としてのアウトドア防災を身につけておくこと。
それは周囲に依存せず、迷惑を最小限にとどめる備えと考えて参加し続けています。

逗子市在住 Iさん
防災用に買った浄水器を使わずにいたけれど、鎌倉の湧水ワークショップを知り関心が高まりました。監修は焚き火カフェの寒川さん。インスタで見つけた防災講座に1月から参加し、毎回新しい発見があります。いつか自分の体験をもとに、防災ワークショップの輪を広げていきたいと思っています。

鎌倉市在住 Sさん
防災という非日常を意識する行為をいかに日常に溶け込ませるか、という点に意識を置かれている講座です。 各回それぞれの学びがとても深いのももちろんですが、連続して参加することにより、定期的に防災について考える機会ができ、意識が自然と高まる事が他の講座にはない魅力だと思います。いつでもどなたでも参加できます!

暮らしの防災コラム

これまでの取り組みやイベント情報を知りたい方は、かまくら暮らしの防災術Facebookグループ『日日是防災』にぜひご参加ください!

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この記事を書いた人

こんにちは、上岡洋一郎です。
鎌倉生まれ育ちの36歳、ハウスメーカー営業、不動産投資会社を経て、不動産屋さんをやっています。不動産を通してこの地域がもっとワクワクできないか、いつも模索しています。

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