鎌倉・材木座の自治会「東水会」で会長を務める菅野哲央さんは、会社員として培った“仮説思考”と“高速PDCA”を武器に、地域課題にユニークかつ実践的に取り組む異色のリーダーです。空き家、防災、ご近所づきあいまで、多岐にわたるテーマを「実験と改善のフィールド」として捉えるその視点は、これからのまちづくりに必要な新たな視点を気づかせてくれます。本コラムでは、そんな菅野さんの視点で地域の日常を綴る「東水会ジャーナル」をご紹介していきます。
ユートピア or ディストピア ?
昨日は、鎌倉市の市民活動センター(NPOセンター)のセンター長の渥美さんと、元センター長の西畑さんと、鎌倉駅からちょっと歩いたところにある居酒屋で、実に楽しい「飲み会」をさせていただきました。まだ少しお酒が残ってるけど、11:00から「なみぼん」に行きます(笑)。。
これまでに多くのNPOを見てこられたお二人と話す中で、多くの気づきをいただくことができ大変参考になりました。地域活動の話が弾むうちに、AI(人工知能)の進化と普及が加速していくと、「地域活動の妙味が増す」という空想のお話になりました。
「生成AI」とか「AIエージェント」などなどいろんな形のAIが次々に登場してきていますが、ここではそういったものすべてひっくるめてAIとします。「AIの進化がやがて人から労働を奪う」とか、「人間はAIにはできない領域の価値を生み出し続ける必要がある」とか言われてますが、まずはタイトルにも掲げた「ユートピア(理想郷)」的な方に振って夢想してみました。
知的労働をこなすAIと、AIと連携して作業をするフィジカルAI(自動運転車や人型ロボットなど)が人々の労働を「質でもスピードでも上回る」ようになると、多くの人は労働する必要がなくなるかもしれません。AIとフィジカルAIの「労働」が実際に付加価値を生むようになると、そうした「富」を分配できるようになります、これは、「ベーシックインカム(基本的収入)」という概念に近づきます。現在は、「人間の経済活動」で生まれた利益の一部を税金として政府が徴収し(実際には国債とかだったりもしますけど)社会保障の財源にしていますが、「人間の経済活動」が「AIとフィジカルAIによる経済活動」に置き換わるイメージですね。
そうすると、人間は働く必要性がほとんどなくなり、消費活動は相変わらずやることになります。言い換えるとそれは、「人間がAIに飼われる」という現象とみることもできます。果たして、これはユートピアなのか、それとも反意語である「ディストピア(悲劇郷:私の試訳です)」なのでしょうか?
一定レベルの生活は保障される一方で、AIとフィジカルAIに経済活動を取られ、「働く意義」「やりがい」「達成感」「成功体験」などを得る機会が極度に減ってしまうと、社会的には結構大きな影響がありそうですね。飽くまで空想の域を出ない話なので、悲観しないでいただきたいですけど。
経済活動の中に身を置くことで、報酬を得るだけではなく、自己実現欲求がみたされたり、仲間と協力して何かを達成した時の喜びといった精神的な「報酬」を得てきた人間は、AIとフィジカルAIにほぼ占有されてしまった経済活動以外に、自己実現や達成感などを得たいという欲求をどのようにして満たしていくのでしょうか?
私の持論は、「ここで、地域活動の出番が巡ってくるのではないか」というものです。現在でも、オフィスでの仕事に疲れて農作業に従事したり、陶器づくりで山にこもったりする人も結構います。人間は、本来土いじりが好きだったり、みんなでなにかを成し遂げることに喜びを感じるのだとしたら、AIの社会実装の進展を横目に見ながら、地域の活動についても考えることは、AI革命の先の世界観を探ることにもなるんですね。
どうです? そういう世界が何十年後かにやってくるかもしれないと思うと、地域の活動を見る目が変わってきませんか?
自治会は、そんな意味ではもっとも身近に、ひっそりとたたずんでいる存在かもしれないですね~。
「仮説とPDCAでまちを変える」――鎌倉・東水会 菅野哲央さんの挑戦
材木座の11の自治会のひとつ、「東水会(とうすいかい)」。
その名の通り、水道路交差点の東側に位置する地域コミュニティです。
この東水会の会長を6年務めるのが、菅野哲央さん。
“仮説オタク”と自称する彼のアプローチは、ビジネスの世界で培った「仮説思考」と「高速PDCAサイクル」を地域に持ち込むという、異色かつ画期的なスタイルです。
🔍 地域の課題に「仮説」で挑む
例えば、クリーンステーションの移設、不法投棄、庭木の管理、空き家の増加といった地域課題。
これらに対し、単なる感情論や前例主義ではなく、「なぜそうなるのか?」を仮説で見極め、最適解を模索します。
「仮説とPDCAで問題が少しずつ解けていくのが面白い。これが僕のモティベーション」と語る菅野さん。
🌊 広がる視野、深まる視点
材木座全体では、津波時の避難体制や団塊ジュニア世代のまちづくり参加を視野に入れ、市レベルでは空き家を福祉や世代交流に活かす構想も。
なんと、観光客2,000万人が押し寄せる鎌倉の「観光と防災」の両立にまで視野を広げています。
🌀 地域運営に「楽しさ」を
地域活動を“義務”や“おつきあい”ではなく、「自分の仮説が通用するかを試せるフィールド」として楽しむ。
そんな柔軟で前向きな姿勢が、少しずつ地域の空気を変えていきます。
🔄 「仮説×高速PDCA」で、地域の未来をアップデート中
現在、次の会長候補を模索しつつ、「FIREを夢見つつ先にRetireが来そう」と笑う菅野さん。
でも、その笑顔の裏にあるのは、「地域に必要なことを、自分のやり方でしっかり回していく」という覚悟と信念です。
📣 これからも、菅野さんの東水会ジャーナルから、まちづくりのリアルと創意工夫をお届けしていきます。
地域の未来を一緒に考えるヒントに、ぜひご注目ください!
鎌倉・材木座にある自治会「東水会」は、水道路交差点の東側に位置し、海と歴史の風情を感じられる地域です。会長の菅野哲夫さんは、自らを“仮説オタク”と称し、会社員時代に培った「仮説思考」と「高速PDCA」を地域運営に活用。「東水会ジャーナル」として、空き家、防災、世代交流など、地域課題への挑戦をブログで綴っています。地域を楽しみながらアップデートする、新しいまちづくりの姿がここにあります。
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