
前編では、不動産の先にある「暮らし」や「人のつながり」を見据えて活動する、上岡洋一郎さんの仕事観をお届けしました。
後編では、その思想がどのように日常の活動やコミュニティの形として表れているのかに迫ります。
本記事は
【鎌倉の魅力ある人】08 上岡洋一郎さん〔後編〕
をもとに構成しています。
リーダーを置かない、フラットな関係性
上岡さんが関わるコミュニティには、明確な「リーダー」がいません。
誰かが上に立つのではなく、全員がフラット。
企画も提案も、やりたい人が自然に手を挙げ、周りがそれを支えます。
「誰が中心、という形にはしたくなかったんです」
この姿勢は、不動産の仕事とも深くつながっています。
上下関係ではなく、横並びの関係性だからこそ、安心して本音を出せる。
それが、人と人の距離を縮めていきます。
朝の鎌倉を歩く「ゴミ拾いしながら散歩」
現在、活動の軸になっているのが、
毎週土曜の朝に行われる“ゴミ拾いしながら街を歩く”時間。
ただの清掃活動ではありません。
- ゴミ拾いが目的になりすぎない
- 会話や気づきが自然に生まれる
- その日の気分で、海へ行ったり、寺に立ち寄ったり
「ゴミ拾い“も”する散歩」。
この“余白”があるからこそ、参加者それぞれが心地よく関われます。
はじめまして、が自然に生まれる場所
参加者は、毎回少しずつ入れ替わります。
- ずっと鎌倉に住んでいる人
- 最近移住してきた人
- 観光客として訪れ、朝の時間だけ参加した人
共通しているのは、
**「この街が好き」**という気持ち。
肩書きも、年齢も、立場も関係なく、
ただ一緒に歩き、話す。
それだけで、関係性はゆっくり育っていきます。
原体験がつないだ「応援する側」という役割
上岡さんは、自身をこう振り返ります。
「何かで一番になったことは、正直なかった」
だからこそ、
- 前に出る人
- 何かを成し遂げたい人
そんな存在を応援する側に自然と回っていたといいます。
中学時代の部活動で、
「全員が活きる形」を選んだ結果、思いがけず優勝した経験。
その記憶が、今の価値観につながっています。
「誰も取りこぼさない」という思想
才能がある人だけが輝くのではなく、
それぞれの持ち味が、ちょうどよく活かされる環境。
「できる人が、できない人を引っ張るんじゃなくて
みんなで楽しめる形を考えた方が、力は出る」
これは、コミュニティづくりにも、会社づくりにも共通する軸です。
鎌倉ひとはこが目指す、これからの姿
上岡さんが思い描くのは、
「自分のペースで生きられる人が増えていく場」。
- 不動産
- コミュニティ
- 仕事
- 学び
それらがゆるやかにつながり、
結果として街全体が少しずつ良くなっていく。
「まずは身近な人から。
それが、また次の人へ伝わっていけばいい」
大きなことを掲げすぎず、
でも確かに、未来へつながる一歩を重ねていく。
楽しいことが、次のワクワクを連れてくる
学べば学ぶほど、知りたいことが増える。
知れば知るほど、人と出会いたくなる。
「楽しいことは、楽しいことを呼ぶと思うんです」
鎌倉という街で、
人と人が出会い、重なり、また次へ進んでいく。
その循環の真ん中に、上岡洋一郎さんの活動があります。
おわりに
不動産屋でもなく、
イベント主催者でもなく、
ただの“いい人”でもない。
「場を整え、誰かが力を出せるようにする人」
それが、後編を通して見えてきた、
上岡洋一郎さんの姿でした。
この街に、静かに、でも確かに効いている存在。
鎌倉の未来は、こうした人たちの積み重ねで育っていくのだと感じさせられます。



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