防災コラム3「寒さは命に関わる」

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かまくら暮らしの防災術 第3回レポート|テーマ:体温をどう守るか

10月16日、「かまくら暮らしの防災術」第3回が開催されました。今回のテーマは「体温の守り方」。日が暮れると肌寒さを感じるこの時期に、「寒さ=命に関わるリスク」という視点で、寒川夫妻が実践的な講座を行いました。

衣(体温)を守ることが最優先

「防災といえば水や食料」と思いがちですが、今回の冒頭で寒川さんが強調したのは「体温保持の優先順位」でした。

災害時、まず失われるのは安心できる住まいと、温かさ。
特に冬場や夜間は、低体温症になる危険があり、それは水よりも食料よりも“早く命に関わる”要因です。

赤ちゃんがまず布にくるまれて守られるように、人もまた「衣(体温保持)」が最優先なのです。

実際に“体験する”防災

今回の講座では、参加者が実際にアウトドア用品に触れながら、防寒の方法を体験しました。

  • 重ね着のコツ(レイヤリング)
    ベースレイヤー(肌着)→ ミドルレイヤー(保温)→ アウター(防風・防水)の順番が基本。
    「たくさん着ればいい」ではなく、「空気をためる層」が鍵。
  • 断熱マットと寝袋
    寝袋だけでは不十分。下からの冷気を遮る断熱マットの重要性を、実際に敷いて体験。
    「地面の冷たさが、体を一気に冷やす」との言葉が印象的でした。
  • エマージェンシーブランケットの正しい使い方
    サバイバルシートとも呼ばれるこのシート。
    銀色の面を内側にして体熱を逃がさないようにする。風や雨を遮る「最後の砦」になる道具です。

「持っているだけで満足する防災用品は、使えなければ意味がない」——寒川さんのこの一言が、講座の本質を突いていました。

対話から生まれた「なるほど」の瞬間

講座の最後は、参加者からの質疑応答や、実際に道具を試す時間が設けられました。

  • 「普段の寝具と何が違うの?」
    → 軽さ、収納性、断熱性。避難時に使えるのは“持ち運べる暖かさ”。
  • 「たくさん着れば安心と思ってたけど…」
    → 「動けなくなると危険。体温を守りながら、行動もできる状態が理想」と寒川さん。

こうした対話の中で、参加者が“防寒”を自分の暮らしに置き換えて考え始めた様子が印象的でした。

暮らしに根ざす防災という発想

防災=避難所や備蓄、という固定観念をやさしくほどいてくれるのが、この講座の大きな魅力です。

寒川さんご夫妻は、防災士や専門家ではなく、あくまでも「日々のアウトドア暮らしを通じて」防災を考えています。
だからこそ、言葉が難しくなく、行動に移しやすい。

「寒いな」と思ったときに、「この毛布、災害時にも使えるな」「寝袋買ってみようかな」と、暮らしの中で自然と防災が育っていく。
その“防災観”が、多くの参加者の心に残っていたようです。

次回は「食:安心できる一時を」へ

次回のテーマは「食」。電気・ガス・水道のライフラインが不通な中で、どうやってに3日間の食事を確保するのか。“エネルギーを極力使わない調理”や、“日常でも使える一工夫”を学び、避難生活でも食事でホッとできる一時を確保しましょう。

これまで参加された方も、初めての方も、ぜひ一緒に「暮らしの防災」を体験しに来てください。

「備える」ことが、「心地よく暮らす」ことにつながる——
そんな価値観が、これからの防災の主流になっていくと感じました。

■寒川一プロフィール
 アウトドアライフアドバイザー。アウトドアでのガイド・指導はもちろん、メーカーのアドバイザー活動や、テレビ・ラジオ・雑誌といったメディア出演など、幅広く活躍中。とくに北欧のアウトドアカルチャーに詳しい。東日本大震災や自身の避難経験を経て、災害時に役立つキャンプ道具の使い方・スキルを教える活動を積極的に行っている。
著書に『新時代の防災術』『「サボる」防災で生きる』『これからのキャンプの教科書』他


◾️さんがわ せつこ
アウトドアの知恵を生かした災害時にも役立つ料理をメディアやワークショップなどで伝える。北欧の暮らしのエッセンスをレシピにも取り入れている。

この「かまくら暮らしの防災術」では生活に溶け込む防災の様々な座学や実践を半年間掛けて行なっていきます。興味あるものから無理なく参加できる。参加者同士がつながっていけることを大切に、いつか来るその時に繋がるというモットーで開催しています。

予定しているイベント一覧
それぞれの備えを考えよう(個人の必要なものに焦点をあて、非常時持ち出しパックをつくる)
アウトドア防災の可能性(衣食住、オフグリッド、生きる優先順位などを学ぶ)
体温をどう守るか(レイヤードシステム、寝袋、マットなど学ぶ)
④アイデア防災クッキング1(実用性のある防災料理をつくる) 
⑤水の確保(水の知識、浄水器の正しい使い方などを学ぶ)
⑥安全に火を取り扱う(安全な火おこし、焚き火、有用な火器の取り扱うをフィールドで学ぶ)※
⑦アイデア防災クッキング2(実用性のある防災料理をつくる)
⑧トイレ問題(使い捨てトイレ各種実験、衛生問題を語り合う)
⑨楽しいロープワーク(日常で実用性の高いロープワークを学ぶ)
⑩シェルターづくり(ロープ、シートで森でシェルターをつくってみる)※
⑪鎌倉の地形を学ぶ(ハザードマップや等高線などから鎌倉独自の地形を学ぶ)
⑫役立つ防災アイデア(日常の小さなアイデアからキャンプにも役立つアイデアまで、みなで共有しましょう) 

受付担当:上岡 kamioka@kamakura-fudousan.com

かまくら暮らしの防災術

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この記事を書いた人

こんにちは、上岡洋一郎です。
鎌倉生まれ育ちの36歳、ハウスメーカー営業、不動産投資会社を経て、不動産屋さんをやっています。不動産を通してこの地域がもっとワクワクできないか、いつも模索しています。

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