皆さん、こんにちは。鎌倉ひとはこ代表の上岡洋一郎です。
地域に根ざした不動産の仕事を通して、「人と街のつながり」ができる手伝いができないか。
そんな思いから個人ではじめた小さな会社も、今では仲間が増え、組織としてのあり方を考える日々が続いています。
どこまで委ねていいのか。どうすれば信頼し合える関係が育まれるのか。
「フェアである」とは、どういうことなのか──。
そんな問いに向き合う中で、ご縁からコーチとの定期的な対話がはじまりました。
この連載は、モヤモヤ考える上岡とコーチの対話の記録です。
悩みながらも進もうとしている過程を、あえてそのまま言葉にして残させてもらいます。
自分ごとの記事で恐縮ですが、笑覧いただけたら幸いです。

🌕 月を見上げた朝に
コーチ:
おはようございます。今朝は、どんなふうに過ごされましたか?
上岡:
実は…二度寝しちゃって。昨晩、皆既月食だったじゃないですか?観ようと思ってたのに寝落ちしちゃってて、目が覚めたのが夜中の2時過ぎ。月が欠け始めてるのをぼーっと眺めてました。なので起きたばかりで寝ぼけてます笑
コーチ:
それはそれで贅沢な時間ですね。月や星を見上げるのって、最大級の「俯瞰」の時間だと思います。
上岡:
本当ですね。次の皆既月食が368年後って読んで、「その頃には骨も残ってないな…」なんて遠い未来に思いを馳せていたんですけど、実は来年の3月にも見られるらしくて。何光年離れた宇宙にいたつもりが、地球に落ちてきた様ながっくし感がすごかったです(笑)。
■ コーチングの「ゴール」とは?
上岡:
そもそも…コーチングって何をゴールにするものなんでしょう?不安を話すだけではなくて、何か明確な目標があった方がいいのか、それとも話すことで見えてくるのか…
コーチ:
とても大事な問いですね。私が大事にしているのは、その人が“本質的に持っているもの”に向かって、自然に歩いていけるようにサポートすることです。人は誰しも、生きているだけで何かしらの目的や願いを持っている。それを、整えていく時間かなと。
上岡:
なるほど…。確かに自分も、地域をより良くしたいとか、災害時に強い街にしたいとか、そういう想いはある気がします。
コーチ:
そういった“命の方向性”を、より腑に落として明確にしていくことが、この時間の価値だと思っています。
🤔 自分の本音と、作られたキャラクター
上岡:
最近、自分が“本当にやりたいこと”って何だったのか、また考えてしまっていて。体調も仕事も悪くない。でも、どこかずっと不安で。どこを「ゴール」として目指しているのかわからなくなっているんですよね。
コーチ:
コーチングの「ゴール」って、まさにそういう問いの中にあるんですよね。何か明確な目標を持つことも大切ですが、「話すことで見えてくること」も多いんです。
上岡:
でも、どうしても思ってしまうんですよね…。自分が今やっている地域の活動や不動産の仕事が、本当に自分のやりたかったことなのか。それとも社会的に“生き残るため”に作り上げたキャラクターなのか…。
コーチ:
なるほど。それは、すごく大事な問いですね。
上岡:そうやって“作ってしまった自分”が、本質からズレてるような不安感があるんです。お金を稼ぐために効率的に経営するって方向にいくこともできるけれど、コーチングを受けることで、もうちょっと違う道を歩こうとしている自分もいる…。
コーチ:
“作ってしまった自分”と、“本質の自分”のギャップに気づきはじめているのですね。
🏢 組織のゴール:「自分も多様性の意思決定の中にいる状態」
コーチ:
では、このセッションのゴールを、今あらためて言葉にすると?
上岡:
たぶん…湘南ひとまちや会社の活動が、僕がいなくても意思決定されていく状態。そこに多様性と納得感があること。
コーチ:
いいですね。それには何が必要でしょう?
上岡:
「委ねる」ことです。自分がすべてをコントロールしないで、参加者の視点やタイミングに任せる。でもそれが難しい。欲を手放すことだから。
⚖️ 平等と公平、その違いに揺れる
上岡:
最近、「平等」だけではダメなんじゃないかと思うようになって。
コーチ:
というと?
上岡:
平等は“全員に同じ台を渡す”ようなもの。でも、背の高さが違えば見える景色も違う。“公平”は、それぞれの人に合った台を用意することじゃないかと。
でもそれをやろうとすると、逆に「特別扱いだ」と言われたり、熱量の違いに戸惑ったりしてしまう。
🧭 善意の押しつけ、というジレンマ
上岡:
以前、スタッフの一人に「上岡さんのフェアって、対等の押しつけに感じた」と言われたことがあるんです。
コーチ:
それは、すごく大切なフィードバックですね。
上岡:
正直、ガーン!ときましたよ。自分としては「平等にしたい」って気持ちだった。でも実は、かつて自分が“搾取されたくなかった”という想いからくる、反動的な態度だったのかもしれない。それを人に押し付けているなって
🔄 わかり合えない前提から、はじめてみる
上岡:
「自分が嫌だった、こうされたくなかったから、こうしてる」っていう組織の作り方は、どこかで歪んでいたのかもしれないと思いました。
コーチ:
それでも、そこに気づいたことが大きな一歩です。
上岡:
これからは、「わかり合えないかもしれない」という前提で対話すること。そこからはじめていきたいと思います。
■ 最後に
コーチ:
このセッションを終えて、今どんな気持ちですか?
上岡:
いや、正直…今日の朝までは「何を話せばいいんだろう」って思ってたんです。でも話しているうちに、“やりたいこと”や“課題”がどんどん見えてきた。平等と公平の違いに向き合うこと、それを理念としてどう会社に落とし込んでいくか。それを深めていくシーズンにしたいと思います。
コーチ:
とてもいい方向ですね。次回以降も、その先にある「制度づくり」や「仲間との合意形成」などを、具体的に考えていきましょう。
上岡:
はい、ありがとうございました。また次回お願いいたします。
🌱「模索中であること」も、発信していく
オウンドメディア「湘南ひとまち」は、もともと私が代表を務める会社の一部から始まりました。
でも理想は、「私がいなくても、自律的に動いていける場所」。
参加する一人ひとりが、自分ごととして関われるような「共有地」のような場を目指しています。
そのためには、制度や理念だけでなく、「委ねる覚悟」が必要です。
他人のやり方を受け止める柔軟性、そして“未完成のまま公開する勇気”。
🎯 今期のゴール(仮)
- 「平等と公平」の違いを言語化し、自社の理念と制度の整合性を見直す
- その価値観に共感するメンバーが、一人、また一人と加わる状態を育む
- 「自分がいなくても回る組織」に向けた土壌を整える
対話後記
「“フェア”って、ほんとうに実現できるんでしょうか?」
そんな問いが口をついて出たのは、ある朝のコーチングセッションの最中でした。
鎌倉で不動産業を営む私は、ここ数年、地域と人が循環するようなメディアや仕組みづくりに挑戦しています。でも最近、こんな気づきがありました。
「自分がやりたいことって、本当に“やりたいこと”だったのかな?」
もともと自分の中にあった“平等でありたい”という思い。
けれど、それは本当に誰かを想ったものだったのか。
それとも、かつて自分が奪い合いの中で育ち、誰よりも“搾取されたくない”“されたくない”と願ってきた、その反動だったのかもしれない。
コーチとの対話のなかで見えてきたのは、自分が「平等」を目指すあまり、「公平さ」を見落としていたかもしれないということでした。
平等と公平の違い
「平等」とは、みんなに同じ“ものさし”を配ること。
たとえば、不動産の仕事が得意な人も、これから学びたい人も、同じ量の案件を任され、同じ責任を求められるような状態。
一方「公平」とは、それぞれの状況に応じて“台”を用意すること。
まだ経験が浅い人にはサポートや時間を、すでに独り立ちしている人には自由度を、というふうに。
でも現実は、そんなにきれいに割り切れない。
メンバーの熱量やスキル、家庭の事情、人生のフェーズはバラバラ。
それなのに「対等に」と言ってしまえば、時にそれは重荷になる。
わかり合えない前提から、はじめよう
以前、ともに働いてくれていた方がこう言ってくれました。
「上岡さんは“フェアに”って言ってるけど、対等を押しつけられている感じがしたんです」
ハッとしました。
その人の立場やペースに合っていなかったんです。
“対等”って、時には“無言の強要”になってしまう。
きっと私自身が「平等こそ正しさ」だと思いすぎていた。
でも本当に大事なのは、“わかり合えないかもしれない”という前提に立ちながら、対話を続けることかもしれません。
目指すは、「自分がいなくても回る」湘南ひとまち
湘南ひとまちは、私が代表を務める会社の中から生まれたオウンドメディアです。
でも本当は、私のものではなく、関わってくれるみんなのものにしていきたい。
私がいなくても、勝手に意思決定がされ、地域の人たちが自律的に育てていける。
そんな場にしたいと思っています。
そのためには、制度や仕組みの整備、理念の言語化だけでなく、何より「委ねる覚悟」が必要です。
“自分の欲”を手放すこと。
誰かが自分とは違うやり方で動いても、それを尊重できる器であること。
今はまだ、模索中です。
でも、“模索中であること”をきちんと発信していくことも、整合性の第一歩だと思えるようになりました。
一緒につくっていきませんか?
「誰一人取り残さない」と口にしながら、気づけば“できる人”しか活躍できない場になってしまう。
そんな矛盾を、私は心のどこかで感じていました。
でも、完璧じゃないからこそ、言葉にしていきたい。
理想と現実のあいだで揺れながらも、少しずつ、一緒にフェアな場所を育てていきたい。
湘南ひとまちは、そんな想いから始まった場所です。
もし何か共感してくれる方がいたら、ぜひ一緒にこの場を育てていきましょう。
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