loader image

【鎌倉のひとに学びつながる】「鎌倉らしいフェアトレードタウンへ 後編」稲葉哲治さん

地域暮らし案内
地域暮らし案内

動画の要約内容

鎌倉エシカルラボ共同代表の稲葉哲治氏は、フェアトレードの概念を現代的に解釈し直し、遠い生産者を支援するという従来の視点から、全員が当事者として持続可能な未来を作る考え方へと発展させています。

「1人の100歩より100人の1歩」という考えのもと、完璧を目指すのではなく、できることから始めて継続することの重要性を説いています。また、鎌倉が抱えるオーバーツーリズムの課題に対して、フェアトレードの考え方を活用し、観光客との新しい関係性構築を目指しています。

「エシカル屋」での商品販売や、コミュニティ活動を通じて、フェアトレードの実践的な取り組みを行っており、地域に根ざした活動を展開しています。

  • インタビュー:稲葉哲治氏(鎌倉エシカルラボ共同代表)

「鎌倉らしいフェアトレードタウンを目指して」 後編

  • インタビュー:稲葉哲治氏(鎌倉エシカルラボ共同代表、えしかる屋プロデューサー)

山崎:これまでの知識だと、遠い生産者を助けようというのは少し上からの目線だった印象がありますが、その考え方自体を身近に持ってくることで活用できるということでしょうか。

稲葉:そうですね。最初はフェアトレードというのは、植民地支配の中での力関係をどう解消していくかという視点が当然ありました。しかし、上下関係でいいことをしようではなく、今ではSDGsという言葉があるように、より良い持続可能な未来を作るために全員が当事者であり、むしろ全員が課題の原因で課題解決を目指すことが求められる。

以前のMDGs(ミレニアム開発目標)では南北格差をどう解消するかという視点がありましたが、確かに、恵まれている側とそうでない側の差はありますが、大切なのは、全員が当事者として活動していこうという考え方です。フェアな関係性を築き上げていくという視点で、今日から身近なところで、家庭の中でも、友達関係の中でも、暮らしの中でもフェアトレードという広い意味でのフェアなコミュニケーション構築ができるのではないかと思います。

「100人の1歩」の価値

山崎:とても身近なところでそれに向けて働きかけることができるということですよね。

稲葉:はい。私ども鎌倉エシカルラボは共同代表制という仕組みを取っていて、3人で共同代表をしています。エシカル消費推進アドバイザーの末吉里花さんともう1人のエシカルコンシェルジュとして活動している平野あきこさんと私です。里花さんがよく言っているのが「1人の100歩より100人の1歩」ということです。

また、鎌倉にあるパタゴニア創業者のイヴォンシュイナードさんがこのようなお話をされていました。「社会に課題があった時、見過ごしたままであればあなたも課題の一部になる。しかし、それに対して何かできることをちょっとでも、始めれば、あなたも解決の一部になれる」とおっしゃっています。

中立だと言っているのは現状の悪い状況に加担しているのであって、それに関して何かできること、一歩でも少しでもすれば、その状態を変える解決側になれるのです。完璧である必要はなく、不完全でいいのです。例えばフェアトレードの商品を買って食べるだけでもいい。それだけでも小さな解決の一部になれるのです。

継続することの重要性

山崎:なるほど、そういった小さな一歩から始められるのですね。

稲葉:はい。皆さんこういう話をすると、すごく真面目に考えてしまって「ペットボトルは絶対買っちゃいけない」とか気にしすぎてしまいます。鎌倉はゴミゼロに向けて一生懸命取り組んでいるので、つい意識してしまいますが、人間なのでそういうことは当然あります。

大切なのは、自分を責めることではなく、できることからしっかり取り組んで、それを一時的ではなく続けることです。始めることは簡単ですが、続けることが難しいのです。小さくても、みんなで続けられるようなことを一緒にしていけたらと思います。

オーバーツーリズムとフェアトレードの関係

山崎:地域らしさというのも、フェアトレードやエシカルをキーワードに育んでいけるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

稲葉:そこは本当に大事な話です。現在、鎌倉の課題として挙げられるのが「オーバーツーリズム」(観光公害)です。観光客が来てくださることはとても嬉しいのですが、それが負の影響を及ぼすという課題があります。

これは鎌倉らしく解決していく必要があります。観光協会や青年会議所も言っているリジェネレーションという考え方があります。来訪者が単にゴミを捨てて、搾取して帰るという関係性は、フェアではありません。これは観光のフェアトレードができていない状態と言えます。

これをフェアトレードな観光に変えていくことで、鎌倉らしい街をもっと再生していくことができると考えています。2025年、26年頃には、リジェネレーションツーリズムとフェアトレードタウンをリンクさせて、鎌倉のコミュニティの価値をもっと高めていきたいと思っています。

山崎:オーバーツーリズムについては、私も少し諦めているところがありました。いらっしゃる規模が大きすぎて、自分が何ができるかを考えた時に、避けるくらいしかできなかったです。その概念を取り入れることによってというのはワクワクしますね。

稲葉:単に「ゴミを捨てないで」というような禁止事項を押し付けるのではなく、「私たちはフェアトレードタウンなので、フェアな関係性を来訪者の皆さんにも理解していただきたい」という呼びかけをしていきたいと思います。

来てくださった方には、街のためにプラスになることをしていただく。そういう提案ができれば、オーバーツーリズムという課題をむしろメリットに変えることができるかもしれません。

山崎:それができたら、フェアトレードの概念がさらに加速度的に広がっていく期待ができますね。

稲葉:そうですね。少し理想論かもしれませんが、来れば来るほど街が良くなるような観光、来た人が何かいいことをして帰っていく観光ができればと思います。理想を掲げないと前に進めませんので、まずは大きな理想を掲げて、それに向けて何が実現できるのかを考えていきたいと思います。

あなたにとって、学びとは?

山崎:最後の質問になりますが、このチャンネルでは皆さんに「あなたにとって学びとは何か」をお聞きしています。いかがでしょうか。

稲葉:学びとは「未知との遭遇と説得されること」だと思っています。単に自分の知っている知識を補強するのは学びではないと考えます。それは自分の世界を強めているだけです。全く知らないものと出会って、その相手の考え方や価値観に自分を染めてみること、それが学びだと思います。

私自身、フェアトレードタウンについても、学生に「そういうことじゃない」と言われて説得され、初めて本当の意味を知りました。また、鎌倉との出会いも同様です。元々新宿に住んでいて鎌倉には縁もゆかりもなかったのですが、来てみて初めて「コミュニティ」というものの存在を知りました。

新宿では「うち」と「外」しかありませんでしたが、鎌倉には「間のコミュニティ」があります。コミュニティの中で暮らすことの豊かさを、常に活動されている方々から教えていただき、説得されました。これからも知らなかったことと出会い、触れ合い、学んでいきたいと思います。

鎌倉のフェアトレード活動への参加方法

山崎:最後に告知がありましたらお願いします。

稲葉:鎌倉エシカルラボで検索していただくと、様々な活動をご覧いただけます。2024年5月には、各地で投票して味とパッケージを決めた「鎌倉ブレンド」というフェアトレードコーヒーがスーパーでも販売されています。これを購入することで、鎌倉市の緑地保全の寄付にもつながります。

また、雪ノ下にある「エシカル屋」では、洋服やアクセサリー、食品、雑貨品、カバン、布団など、エシカルやフェアトレードの商品を幅広く取り扱っています。お時間がありましたら、ぜひ遊びに来ていただければと思います。

山崎:本日は貴重なお話をありがとうございました。

稲葉:ありがとうございました。

鎌倉ひとはこでは、山崎奈々絵さんの『鎌倉のひとに学びつながる』の人とまちを繋げる活動を応援しています。

投稿者プロフィール

松本 尚樹
松本 尚樹
・エコ住宅アドバイザー
・環境不動産仲介事業
・Webディレクター

生物多様性の保全を目的とし、不動産仲介を通して、自然と共生するライフスタイルや環境負荷の少ない住宅の提案、生物多様性保全活動、環境教育活動など行なっております。

コメント

タイトルとURLをコピーしました