エコな住宅とはどのような住宅なのか知っていますか?エコハウスは、環境に配慮した住宅として近年注目されています。
本記事では、エコハウスとは何か、その特徴やメリット、選び方、事例について詳しく解説します
是非、環境に良い住宅選びの参考にしてください。
エコハウスの背景
地球温暖化対策として、世界全体でのCO2排出量削減が急務とされています。2008年の北海道洞爺湖サミットでは、2050年までにCO2排出量を少なくとも50%削減する目標が共有され、日本でも「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定されました。この計画では、2050年までに60~80%のCO2削減を目指し、低炭素社会の実現に向けた取り組みが本格化しています。
日本国内の家庭部門からのCO2排出量は、1990年度に比べ2007年度には40%以上も増加しました。これは家電製品の普及等による家庭でのエネルギー消費量の増加が原因です。この状況を改善するには、住宅建設や住まい方、改修、建替えなどのライフサイクル全体を見直し、省エネで環境負荷が少ないエコハウスの普及が欠かせません。
環境省エコハウスモデル事業は、環境省が推進する「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」の一環です。全国20の自治体がこの事業に採択され、地域の気候風土や特色を活かしたエコハウスの実現と普及を目指しています。これにより、自治体は環境省の補助金を活用し、環境負荷を抑えた住宅建設を推進しています。
参考:環境省「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」
エコハウスとはなにか?
エコハウスとは、「環境に優しい住宅」を指し、自然エネルギーの活用や高い断熱性能、地域の気候風土に適した設計などを取り入れ、エネルギー消費を抑制しつつ快適な住環境を提供する住宅です。
環境省では、エコハウスの基本的な考え方として、「環境基本性能の確保」「自然・再生可能エネルギー活用」「エコライフスタイルと住まい方」の3つのテーマを掲げています。
基本テーマ | 内容 |
環境基本性能の確保 | ・高断熱、高気密な構造による省エネルギー ・自然採光と通風の活用 ・計画的な換気システムの導入など |
自然・再生可能エネルギー活用 | ・太陽光発電システムの導入 ・地中熱や太陽熱の利用 ・雨水利用システムの採用など |
エコライフスタイルと住まい方 | ・省エネ行動の促進 ・節水や廃棄物削減の工夫 ・環境に配慮した生活習慣の実践など |
参考:環境省
エコハウスが注目されている理由
エコハウスが注目される背景には、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇といった環境問題があります。近年の日本の家庭部門のCO₂排出量は省エネが普及傾向にあり、減少しつつありますが、カーボンニュートラルを達成する為には、省エネで環境負荷の少ない住宅の普及が急務とされています。エコハウスは、エネルギー消費を抑え、CO₂排出量の削減に貢献するだけでなく、住まい手の健康や快適性、経済性にも優れています。また、政府のカーボンニュートラルを目指す宣言に伴い、エコハウスの需要はさらに高まっています。
エコハウスの機能的特徴
ここでは、環境省のエコハウスモデル事業として定めている、「環境基本性能の確保」「自然・再生可能エネルギー活用」「エコライフスタイルと住まい方」の3つのテーマの機能的特徴を解説します。
環境基本性能の確保
エコハウスでは、断熱・気密性能を高め、日射遮蔽や通風などの工夫により、エネルギー消費を抑えつつ快適な室内環境を実現します。具体的には、以下の8つの要素が重要とされています。
- 断熱: 高性能な断熱材を使用し、外気の影響を最小限に抑える。
- 気密: 隙間をなくし、室内の空気を外部に逃がさない構造。
- 日射遮蔽: 夏季の日射を遮る工夫。
- 日射導入: 冬季の日射を効果的に取り入れる設計。
- 蓄熱: 蓄熱材を利用し、昼間の熱を夜間に放出する仕組み。
- 通風: 自然の風を取り入れる窓の配置や設計。
- 換気: 計画的な換気システムの導入。
- 自然素材: 無垢材や珪藻土など、環境負荷の少ない素材の使用。
自然・再生可能エネルギー活用
エコハウスでは、太陽光や地熱などの自然エネルギーを積極的に利用し、化石燃料への依存を減らします。例えば、太陽光発電システムの導入や、地中熱を利用した冷暖房システムの採用などが挙げられます。これにより、エネルギーコストの削減やCO₂排出量の削減が可能となります。
エコライフスタイルと住まい方
エコハウスでは、住まい手の意識や行動も重要視されます。具体的には、以下のようなライフスタイルが推奨されています。
- 節水: 水の使用量を抑える工夫や節水型設備の導入。
- 適切な衣類の着用: 室内環境に合わせた衣類の選択。
- 植物を使った日除け: グリーンカーテンの設置など。
地域特性
エコハウスは、地域の気候風土や文化に根ざした設計・素材を採用し、その土地ならではの魅力を持つ住宅とします。例えば、寒冷地では高断熱仕様、温暖地では通風を重視した設計など、地域の特性に応じた工夫が求められます。
エコハウスの事例
山梨市が取り組む「エコハウスやまなし」は、環境省のエコハウスモデル事業の一環として建設された環境共生型住宅の代表例です。この事例は、地域の気候特性を活かし、自然エネルギーを最大限に利用することで、快適かつ環境負荷の少ない住宅を実現しています。
参考:高千穂シラス株式会社
地域特性を活かした設計
山梨市は甲府盆地の東部に位置し、寒暖差が激しい気候が特徴です。「エコハウスやまなし」は、こうした地域特性に対応するため、エアコンに頼らずに、太陽熱や風通しを利用した温度調整機能を強化しています。具体的には、冬季には太陽熱を利用した蓄熱床暖房を採用し、自然エネルギーを活用した効率的な暖房システムを構築しています。また、夏季には、窓からの日射を遮断し、朝晩の涼しい空気を取り入れ、昼間は窓を閉めて外気の侵入を遮断することで冷房負荷を抑えています。
自然素材の採用と快適性の追求
この住宅では、内外装の壁にシラス壁を採用し、調湿性能を向上させています。シラス壁は天然素材であり、シックハウス対策にも優れています。特に山梨市のように湿度変化が大きい地域では、この調湿性能が快適性の向上に大きく貢献しています。また、シラス壁の吸放湿性により、結露の発生を防ぎ、カビやダニの繁殖を抑える効果も期待できます。
エネルギー効率を高める工夫
「エコハウスやまなし」では、エネルギー効率を高めるために以下の取り組みがなされています。
-
- 太陽光エネルギーを活用したソーラーエコキュートとFFストーブの活用: 太陽エネルギーを活用するソーラーエコキュートと端材等を利用するFFストーブ(密閉型暖房機器)を採用し、エネルギーを有効活用。
- 空気循環システム: 天井扇やサーキュレーションダクトにより室温均一化。
- 日射遮蔽: 夏では、日中は外気温を遮断し、朝晩には涼しい空気を室内に取り入れる。春秋などの快適な気候では、窓を開け、低い窓から重力換気を考慮し、自然な空気の流れを作る。
- 自然素材:羊毛系断熱材、シラス壁、和紙壁紙等の自然素材の持つ調湿特性を利用した空間設計
住まい手のライフスタイル提案
エコハウスやまなしは、快適な住環境だけでなく、コミュニケーション空間を意識した住宅を設計しています。具体的には、家庭菜園スペースを設けることで自給自足の楽しみを提供し、持続可能な暮らしをサポートしています。また、子供が部屋に閉じ込まない家族間のコミュニケーションを促進する間取り設計が施されています。
地域とのコミュニケーション強化
間取りをオープンにする事で気配がわかり、地域社会とのコミュニケーションを取ることができる設計を大切にしています。
エコハウスを導入するメリット
エコハウスの導入には、環境面だけでなく、経済面、住環境の快適さ、健康面でもメリットが得られるメリットが得られます。
メリット分類 | 具体的な内容 |
環境面 | ・CO₂排出量の大幅削減 ・再生可能エネルギーの活用 ・環境負荷の低減 |
経済面 | ・光熱費の削減 ・各種補助金の活用 ・住宅の資産価値向上 |
快適性 | ・室内環境の安定 ・結露やカビの防止 ・自然光や風の活用 |
健康面 | ・シックハウス対策 ・アレルギー対策 ・良好な空気環境 |
エコハウスを選ぶポイント
エコハウスを選ぶポイントとして、断熱性能、自然エネルギーの活用、自然素材の活用、地域特性の考慮が重要なポイントとなります。特に建築士とハウスメーカーとの連携が重要で、断熱性能や自然エネルギーなど地域や環境にあった性能を適切に選択しないと総合的に得られる効果が薄れる可能性があります。エコハウスの技術や経験のある建築士やハウスメーカーに依頼する事が重要です。
選択ポイント | 確認事項 | 重要度 |
断熱性と気密性 | ・断熱材の種類と厚み ・気密測定値の確認 ・窓の性能仕様 |
★★★ |
自然エネルギー活用 | ・太陽光発電の容量 ・蓄電池の有無 ・省エネ設備の種類 |
★★★ |
自然素材の使用 | ・内装材の種類 ・化学物質の放散量 ・メンテナンス性 |
★★ |
地域特性への適応 | ・気候風土との適合 ・地域材の活用 ・周辺環境との調和 |
★★ |
これらのポイントを踏まえ、自身のニーズと予算に合わせて最適なエコハウスを選択することができます。特に断熱性・気密性と自然エネルギーの活用については、重点的に検討することをお勧めします。
まとめ
エコハウスは、環境への配慮と快適な暮らしを両立する次世代の住まいとして、今後ますます重要性が高まっていくでしょう。その特徴は、高い断熱・気密性能による省エネルギー性、自然エネルギーの積極的活用、環境に配慮したライフスタイルの実践、という3つの要素に集約されます。
導入時には初期費用が一般住宅より高くなる傾向がありますが、光熱費の削減効果や各種補助金の活用により、長期的には経済的メリットが期待できます。また、CO₂排出量の削減による環境負荷の低減、快適な室内環境の実現、健康面への配慮など、多面的な価値を提供します。
エコハウスの選択にあたっては、自身の生活スタイルや地域特性を考慮しつつ、断熱性能や自然エネルギーの活用方法を重点的に検討することが重要です。さらに、住まい手自身が環境に配慮したライフスタイルを実践することで、エコハウスの効果を最大限に引き出すことができます。
今後の脱炭素社会の実現に向けて、エコハウスは私たちの住まいの新しいスタンダードとなっていくことでしょう。環境と共生する快適な暮らしを実現するため、エコハウスという選択肢を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール

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・エコ住宅アドバイザー
・環境不動産仲介事業
・Webディレクター
生物多様性の保全を目的とし、不動産仲介を通して、自然と共生するライフスタイルや環境負荷の少ない住宅の提案、生物多様性保全活動、環境教育活動など行なっております。
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